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高額なVtoHは本当に必要? 日産サクラ購入と同時に自宅へ導入したプロが語る“忖度なし”の結論

高額なVtoHは本当に必要? 日産サクラ購入と同時に自宅へ導入したプロが語る“忖度なし”の結論

この記事をまとめると

■EVやPHEVは設備を整えることで自宅などへ給電ができる車種がある

■給電機能はVtoH(Vehicle to Home)やVtoL(Vehicle to Load)と呼ぶ

■災害時に停電などが発生した際に威力を発揮する

VtoHは本当に便利なのか

 電気自動車やPHEVを購入する際、東京都は自治体による補助金制度を設け、給電機能のあるEVへの補助額を強化している。給電機能とは、VtoH(Vehicle to Home)やVtoL(Vehicle to Load)をいう。VtoHは、EVから自宅などへ給電する機能をいい、VtoLは、EVから電化製品への給電をさす。このうち、VtoHは建物に専用の機器を設置し、それを通じて自宅などへ給電するため、EVの購入とは別に支払いが生じる。

 では、そこまで資金を投じて、有用性はどれほどあるのだろう?

 サクラに乗る私は、EV購入と同時にVtoHの機器を自宅に備えた。理由は、停電した際に電化製品をいつもどおり使用できるようにするためだ。いまの暮らしは電気に依存している。夜間の電灯にとどまらず、冷蔵庫や電子レンジはもちろん、風呂やシャワーを使う際にも、電気でスイッチを入れなければ湯を沸かせない。情報を得たり検索したりするパーソナルコンピュータ(PC)のほか、スマートフォンの充電にも電気が必要だ。

 では、停電はいつ起きるのだろうか。ほとんど経験したことがないという読者も多いはずだ。

 しかし今夏、都内の我が家の電気が突然とまった。災害でもないのに停電した。幸い、5~10分で復旧し、VtoHを使う暇もなかった。しかし、最寄り駅周辺の商店街は、数時間停電したままであったという。原因は不明だ。そういうことが起きかねない時代である。災害に遭えば、停電の可能性は高まる。

 大地震でなくても、集中豪雨では停電の可能性が高まる。たとえば千葉県の豪雨では、地下に設置したマンションの水道用ポンプが停電で稼働できなくなり、水道もエレベーターも使えない状態が1週間以上続いた。戸建て住宅でも、台風や強風の影響で停電することはありえるだろう。そうした際に、VtoHを備えていれば、EVに充電された電力を活用し、電気の確保ができる。もっとも小さなバッテリー容量のサクラや三菱eKクロスEVの場合、満充電での電力量は20kWhだ。

 一般的な家庭で1日に使う電力は10kWhとされている。したがって、満充電からであれば、2日分の給電が可能と計算できる。満充電でなくても50%ほど充電されていれば、災害などの非常時に、必要最小限の電気の利用にとどめることで、1日以上給電できるかもしれない。それ以上のバッテリー容量のEVであれば、数日は電気を使い続けられる可能性がある。

 一般に、災害時でも系統電力は数日で復旧することが多い。そのため、水道やガスなどほかの社会基盤に比べ、EVからのVtoHで数日もちこたえれば、電気が復旧する可能性は高い。マンションなどの集合住宅でも、VtoHの設備を設ければ、居住者すべての部屋に対応できなくとも、セキュリティ式ドアの開閉やエレベーターの稼働など、共用部分の電力を賄える可能性が出てくる。

 たとえば日産自動車は、日立ビルシステムと共同で、サクラを使い、6階建てのエレベーターを約15時間稼働させ、416往復させている。リーフ(60kWh)なら、44時間以上、1248回が可能との計算になる。

 以上は、いずれも万一の災害時などの活用例だ。それでも、気候変動が進み、いつ、どこで災害に見舞われるかわからない今日、EVを通じた電力確保は、対応策として注目されていい。

 ほかに、自宅に太陽光発電を設置しているなら、VtoHを使うことでEVに蓄電し、家庭でその電力を利用する暮らしを日々実践できる。この場合は、系統電力への電気代の支払いを抑えるのに役立つ。平成28年熊本地震では、急速充電事業者が当面の間無料で急速充電を開放した。EVを移動可能な蓄電池と見れば、VtoHで減った電力の補充に、そうした急速充電所の活用も視野に入ってくる。

 さらに、洪水に際しては、エンジンを使うクルマは排気管に水が入ると止まってしまう。しかし、排気管のないEVは、助かる可能性が増えるのではないか。

 もちろん、すべてにおいて万全とはいえない。だが、EVであること、そしてVtoHを備えておくことで、より安心した暮らしを続けられる可能性が高まるといえるのではないだろうか。

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