
※本記事は雑誌「CARトップ2025年4月号」の記事を再構成して掲載しています
誤解も少なくない二酸化炭素排出量の制限
近年、環境活動への取り組みから自動車の動力の電動化が進んでいる。すでに多くのBEV(バッテリーEV)が市場に投入されており、中国製や韓国製のBEVまでもが国内に導入されるなど、その動きは一気に加速しているように見える。
誤解を恐れずに言えば、地球温暖化は二酸化炭素の排出量を制限することで抑えられると考えている人が多いようだが、そうではない。これまですでに排出された二酸化炭素(これは自動車が走ることで出されるものだけではない)が温暖化の一因になっているのは間違いないのだろうが、それはもうすでに排出されてしまっていて、回収しない限り状況は好転しない。
さまざまなメーカーがBEVを開発し、インフラを整え、普及させ、膨大な電力を供給するようになれば、二酸化炭素の排出抑制どころか排出に拍車がかかってしまうのは目に見えており、多くの識者も指摘しているだろう。以上のようなことを踏まえつつ、今回は自動車の電動化について考察してみよう。
じつは大昔からあった電動だけで走るクルマ
自動車の電動化にはいくつかの方法がある。もっとも古いのは、意外に思われるかもしれないがBEV方式だ。ガソリンエンジンが搭載される以前、蒸気機関の自動車が開発された前後にBEVは登場していたとされている。
ただ蓄電容量の小ささ、充放電技術の未熟さから一般化しなかった。しかし、遊園地で走る電動ゴーカートやゴルフ場の移動用カート、シニアカーや築地市場で使われていたターレなど、電動車は多くの場面で活用されてきた。
また電動車を走らせる電動モーターは工場のベルトコンベアやエレベーターなどなど、文明や経済を支える中心にあり一般的に浸透している。自動車に電動モーターを組み合わせるという発想は、じつは古くからあったのだ。
クルマ好きの多くは幼少期から大人に至るまで、電動モーターを搭載するプラモデルやRCカーなどのオモチャを作り、遊び、慣れ親しんだ経験があるだろう。自動車の運転に役立つ公道での走行経験やブレーキ感覚、変速機への理解は自転車でも育めたはずだが、電動のオモチャで遊んだ経験値は今後の電動自動車にも活かせるはずだ。
BEVの課題は今も昔もバッテリー
電動モーターの特性はゼロ回転から最大トルクが発生させられるということ。内燃機関は負荷をかけることでトルクを発生し、回転数を乗じて出力として表す。それを低速から高速域まで効率よく引き出すために変速機と組み合わせることが一般的だ。近年は10速ギヤという多段化も進んでいる。
こうしたことからもわかるように、内燃機関は構造が複雑で部品点数が多く、生産工程も増える。高出力化では重量も増え、メンテナンスも容易ではない。
対してBEVはモーター自体の構造が簡単で回転数も自在に変えられる。変速機が不要であり、生産工程も簡素化できる。メンテナンスも容易で電動モーターを扱う会社なら苦労せずBEVを生産することができるだろう。問題の多くはBEV創成期と変わらずバッテリーの問題であり、それはいまも変わりない。
