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「有料でもいいから紙を残して……」新車のカタログのデジタル化がもたらす意外な弊害

「有料でもいいから紙を残して……」新車のカタログのデジタル化がもたらす意外な弊害

この記事をまとめると

■紙カタログの廃止が各ディーラーで目立ってきた

■かつては紙カタログをベースに商談が弾むこともあった

■有償化などをして別で用意する戦略もアリかもしれない

紙カタログ廃止の是非を考える

 最近、新車販売ディーラーへ行くと必ず耳にするのが、「こちらに紙のカタログはありますか? 」という質問だ。しかし多くのディーラーでは、「弊社はデジタルカタログのみで、紙ベースのものはありません」という答えが返ってくる。仮に「紙のものもありますよ」としてもってきたものを見ても、ペラペラで情報量もかなり少ない。カタログ内にQRコードがそこかしこに掲載されており、「詳しくはQRコードをスキャンしてください」となるため、デジタルカタログしかないのとほとんど変わらない状況となっている。

 しかし日産はいまでも厚みのある従来の紙カタログを用意しており、持ち帰ることが可能となっている。筆者が訪れたスズキ系ディーラーでは、紙ベースのカタログはあるにはあるが、店頭閲覧専用としてもち帰ることはできず、「ご家庭ではデジタルカタログをご覧ください」となっていた。

 紙媒体に縁の薄い若い世代にとっては「だからどうした」的な話なのだが、一定年齢以上となると新車が欲しいと考えている側だけではなく、売る側、つまりセールスマンもなんともやりにくいようである。たとえば、ふらりとショールームに立ち寄った人が気になる展示車を見たり、実際に試乗したあと、いままでなら「カタログください」となって、カタログをセールスマンと一緒に見ながら「見積りしてみましょうか」と誘導することもできた。

 しかし、家でもメーカーのウェブサイトで見ることができるデジタルカタログを、わざわざ店頭でセールスマンと見るのは、筆者ぐらいの年齢(もうすぐ還暦)でも「タイパ(タイムパフォーマンス)が悪い」と感じてしまう。そして、そのままショールームをあとにすることになるだろう。

 そんななか、ある事情通が「自転車はメーカー次第だが、デジタルカタログを準備する一方で、紙カタログは有償配布、つまり売っているようだ」と話してくれた。調べてみると、自転車の世界では有償の紙カタログが存在するようであった。

「クルマのカタログ」はコレクターも多いので、たとえば200〜300円ぐらいでいままでどおりの紙ベースのカタログを有償で用意するというのは、「カタログコレクター」を自称する筆者のような人種にとっては悪くない話だなと思った。筆者の父親は購入した車種のカタログを代々大切に保管していたので、コレクターだけではなく、そのようなニーズにも対応できるものと考えている。

 しかし、いままで無料で配布していたものが有償配布となると、「世知辛い世の中になった」などと批判的な声も出てきそうだが、あくまでデジタルカタログを本流として、「有償で紙カタログもありますよ」とすれば、それほどゴタゴタしない気もするのだが……。懸念されるのは、顧客サービスの一環でセールスマンが私費で購入し、「お得意さまには無料配布してしまうのではないか?」ということだ。令和のいまでは仕事のために「自腹を切って」までやろうというセールスマンはまずいないだろうし、それを勤務先のディーラーが許容してしまえば大問題になってしまうだろう。

 かつて東京都お台場地区にあったトヨタのショールーム「メガウェブ」には、カタログの自動販売機が設置してあった。全店舗に設置はせずに、本社営業所など主要店舗に限定してカタログ自動販売機を設置するのもいいかもしれない。カタログを買いにきた人にセールスマンがアプローチするという、新たな新車販売の流れができるかもしれない。

 コレクターとしては、クルマのカタログも時代を映す歴史的価値の高いものと考えている。デジタルカタログはPCやスマホ、タブレット端末があれば気軽に見ることができるのだから、デジタルカタログをそのまま紙ベースのものにしなくてもよい。有償配布が前提なのだから、紙カタログらしいグラフィカルなものを重視した内容にしてもいいかもしれない。

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