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最近の路線バスってギクシャクしない? MTのほうがスムースでもバスのAT化が進む理由

最近の路線バスってギクシャクしない? MTのほうがスムースでもバスのAT化が進む理由

この記事をまとめると

■最近の路線バスはMT車が減っている

■ATやAMTを採用することで運転手の負担を減らし採用を増やす狙いがある

■ドライバーの負担は減るが独特な挙動で乗客から乗り心地への不満が出ている

広まりつつある路線バスのAT化と課題

 近年、路線バスを利用したときに運転手の操作を見て、なにか違和感をもったことはないだろうか。それは、シフトレバーやクラッチ操作をしないことが増えているからかもしれない。これらの車両は、「AT(オートマチック・トランスミッション)車」や「AMT(機械式自動変速機)車」と呼ばれているものである。

 わが国の乗用車市場においてAT化率が9割を超えて久しい現代であっても、大型バスやトラックなどの商用車は「MT(マニュアル・トランスミッション)車」が一般的。重量のある車体を動かすには、流体クラッチ(トルクコンバーター)を用いるATではパワーロスが大きい上に燃費が悪化しやすく、耐久性でもMTに勝てないからだ。

 しかし近年、バス業界では急速にAT化(2ペダル化)の波が押し寄せている。その理由は、「深刻な運転手不足」と「ドライバーの肉体的・精神的な疲労軽減」だ。日本の交通業界が直面している「2024年問題」や運転手の高齢化により、バス業界では新たな人材の確保が急務となっている。発進と停止を繰り返す路線バスにおいて、そのたびに重いクラッチを踏み込み、左手でシフトチェンジを行うMT車の操作は、運転手にとって計り知れない肉体的負担となっている。

 そこで、AT車やAMT車を導入することでそれらの操作から解放され、渋滞・信号・一旦停止などが多い市街地における運転手の疲労を大幅に軽減しようというのだ。また、MT車の運転に不慣れな若い世代や、これまで大型車の運転経験がない未経験者でも、運転技術の習得が容易になる。人材確保の門戸を広げるためにも、運転しやすい2ペダル車の導入は有効なのである。

 AT化のメリットはそれだけではない。「安全運転への集中」効果も大きいのだ。煩雑なシフト操作に気を取られないぶん、周囲の交通状況の確認や、車内を移動する乗客の動向に神経を注ぐことができる。一方で、デメリットも存在する。じつは、現役のベテラン運転手や一部の乗客からは「ATバス(とくにAMT車)は乗り心地が悪い」という不満の声が少なくないのだ。

 現在、多くの路線バスに採用されている「AMT」は、ベースとなる機構がMTと同じ歯車式でありながら、クラッチ操作と変速操作をアクチュエーターによって自動で行うシステムである。MTと同等の燃費や耐久性を確保できるメリットがある反面、変速でクラッチが切れるとき、「トルク抜け」と呼ばれる空走時間が生じる。

 この変速タイミングが運転手の感覚とズレやすいことや、変速するときのショックが大きくなりがちであるため、立っている乗客を大きく揺さぶってしまう原因になるのだ。MT車であれば、プロのベテラン運転手は半クラッチやアクセルワークを駆使し、変速ショックを乗客にまったく感じさせない滑らかな運転が可能だった。しかし、機械任せのAMTや一部のATでは、プロの繊細な技術を完全には再現できないのだ。

 このように、内燃機関を搭載したAT/AMTバスは、必ずしもパーフェクトな存在とはいえない。しかし、だからといってMTに戻る可能性は低いといえる。その理由は、バスのEV(電気自動車)化が進んでいることだ。モーターを動力とした場合、内燃機関のような狭いトルクバンドや複雑な変速機が存在せず、AMT特有の変速ショックやトルク抜けが発生しないのだ。

 現在進んでいる路線バスのAT化・AMT化は、業界が直面する人材不足を乗り切るための苦肉の策であると同時に、将来のEV化や自動運転化へとつながる「進化の過渡期」に位置づけられる。過渡期ゆえの課題を抱えつつも、今後の路線バスはテクノロジーの進化により、乗客にも運転手にも優しい次世代の公共交通機関へと、確実に変貌を遂げていくことになるだろう。

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