
この記事をまとめると
■ポルシェが次世代スーパースポーツの方向性を示す「ミッションS」を世界初公開
■歴代名車の意匠を取り入れ未来へ向けた新たなデザインを提案
■伝統と先進性を融合したドライバー中心の設計を追求した
歴史を受け継ぐ次世代スーパースポーツ
ポルシェの新型車発表といえば、欧州で行うイメージが強い。それだけに、現地時間の10月15日「ミッションS」の世界初公開が、ニューヨーク・クイーンズの桟橋で行われたのは意外なことと捉えられたかもしれない。だがそこには、当然コンテクストがある。じつはこの桟橋は、ポルシェの歴史に刻まれた特別な地点なのだ。
1953年、ミッドシップの「550スパイダー」の最初の写真が撮影され、世界へ広まったのが、まさにこの桟橋だったのだ。550スパイダーはポルシェ初のスーパースポーツとして、いまもブランドのアイデンティティを決定づけた1台と見なされ、同時にアメリカでのポルシェの人気と成功の礎にもなった、記念碑的なモデルなのである。
そんな場所でお披露目されたのが、ミッドシップのビジョンモデル「ミッションS」だ。ポルシェは2035年に向けた戦略再編「Sportwagenschmiede ‘35」の一環として、進化するデザインアイデンティティの第一歩としてこのモデルを位置づけている。パワートレインやスペック、価格といった数字は、現時点で公表されていない。
最大のポイントは、これが単なるデザインスタディではないことだ。ポルシェAG取締役会会長のミヒャエル・ライターズ氏は、ポルシェは一目でポルシェとわからなければならないと語ったうえで、ミッションSは911の上に位置するミッドシップのスーパースポーツ・プラットフォームを示すものだと説明する。その位置づけは、カレラGTや918といった数の限られたハイパーカーではなく、顧客向けのラインアップに恒常的に加わる汎用性の高いモデルだという。ポルシェが911の上に数量限定でないスーパースポーツを用意するのは、今回が初めてになる。
デザインの鍵になるのは、「オーセンティック(本物であること)」「コンシークエント(一貫性)」「タイムレス(時代を超えること)」という3つのキーワードだ。ポルシェらしい要素を未来へ翻訳し、特徴的な「トーピード(魚雷)」フェンダーや象徴的なルーフライン、幅に対して低い車高を組み合わせ、面や形が浮かんでいるように見える「フローティング・ボリューム」を生み出した。
注目なのは、歴代モデルの引用がとにかく多いことだ。丸型ヘッドライトと張り出したフェンダーは911、ライトグラフィックにつながるシャットラインはGモデル、フラットなフロントエンドはGT1、ルーフラインは959を思わせる。その流れるルーフラインは、ミッションSでは車体後端まで続く。リヤはGT1に由来する「カー・イン・カー」の構成だ。冷却は917のラジエターファンを連想させるデザインで、アクティブリヤウイングも一体化されている。ホイールは928に採用されたダイヤルデザインをベースに、軽量化を徹底して新設計した。
