販売台数は16%減でも利益34%増! ポルシェが「EVの誤算」から「911回帰」へ舵を切った理由

この記事をまとめると

■販売台数で苦戦するポルシェだが営業利益では市場予測を上まわる業績を残している

■中国とアメリカでのEV戦略苦戦により「911重視」の戦略へと転換を図っている

■フェラーリとマクラーレンを渡り歩いた新CEO就任でハイパーカーの登場にも期待

ポルシェの新CEOと次世代戦略に注目

 ドイツのポルシェがいま、大きな転換期に直面している。モデルラインアップの強化で、伝統の「911」を主体としたビジネスモデルへとシフトしているのだ。

 直近でポルシェの業績は、2026年上期(1〜6月)では営業利益が13億5000ユーロ(1ユーロ183円換算で2471億円)で市場予測を上まわった。前年同月期比では34%も増加している。ただし、販売台数で見ると12万2306台で前年同期比16%減という状況にある。

 台数減少の最大の理由は、中国市場での落ち込みだ。背景にはEV市場での競争激化が挙げられる。中国ではNEV(新エネルギー車)市場が着実に伸びており、EV普及率は欧米や日本を凌ぐEV大国となっている。ポルシェとしても「タイカン」を筆頭に中国市場でのシェア拡大を狙ったが、中国地場EVメーカーの台頭などが影響し、大幅な販売減少で多くの販売店が閉鎖に追い込まれる事態となっている。

 EVの観点では、アメリカでも誤算があった。

 第二トランプ政権による環境関連施策によって、EVに対する補助金の見直しなどによる消費マインドの低下などにより、EV販売台数が伸び悩んでいるのだ。

 ポルシェといえば、2015年のフランクフルトモーターショーで初公開さらた「ミッションE」が世界のEV市場拡大に向けた号砲に見えた。ミッションEはその後、タイカンとして量産されたわけだが、「マカン」を含めてEVシフトを進めたポルシェにとって、中国とアメリカでの市場環境の変化を予想することは難しかったといえよう。

 こうしたなか、ポルシェは2026年1月1日、これまで10年間に渡りポルシェの経営をリードしてきたオリバー・ブルーメ氏からミヒャエル・ライタース氏にCEOの座を譲った。

 前述のような中米の市場変動を踏まえて、ブルーメ氏はポルシェの真骨頂である911シリーズの販売強化を打ち出し、2026年上期は高付加価値のモデルによって効率よく収益を稼いぐことに成功した。ライタースCEOとしては、昨年来の経営方針転換を確実に実行しているといえよう。

 そのなかで、大仕事となるのが2035年までに従業員を合計9000人削減するという計画の実行だ。直近の報道を通じて、労働者代表らとの交渉によって段階的な人員削減に動き出していることが分かる。

 こうした販売戦略や組織再編などに加えて、ライタースCEOに期待されているのが、ハイパーカー戦略であろう。同氏はポルシェで13年間従事したのち、フェラーリのCTO(最高技術責任者)を8年以上、さらにマクラーレン・オートモーティブのCEOを努めてきた。グローバルでいま、ハイパーカー市場が拡大しているなか、911より上位となるポルシェハイパーカーシリーズの需要が今後、さらに高まることが予想される。

 ライタースCEO、腕の見せどころになりそうだ。


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桃田健史 MOMOTA KENJI

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