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「あと少しで家だから…」が命取り。車内は悪臭、最悪は車両火災もあり得る水没したクルマの「恐ろしすぎるダメージ」と修理の現実 (1/2ページ)

「あと少しで家だから…」が命取り。車内は悪臭、最悪は車両火災もあり得る水没したクルマの「恐ろしすぎるダメージ」と修理の現実

※本記事は雑誌「CARトップ2026年11月号」の記事を再構成して掲載しています

なぜ突き進む? 一寸先は闇な冠水路

 8月13日は千葉県、29日には石川/富山県と、8月に立て続けに発生した豪雨災害はいまも記憶に新しい。そして9月以降も全国各地で台風や線状降水帯による豪雨が頻発する可能性が高いと言われている。

 家屋の床下/床上浸水はもちろん、最悪、人命が奪われるなど、その被害は甚大。クルマへの影響も深刻で、テレビやネットのニュースで見る、冠水した道路や氾濫した河川にはまってクルマが水没している光景は珍しいことではなくなった。しかし、見ている側はどこか他人事だったりもする。

 それにしても驚かされるのは、クルマが川、あるいは湖のようになった道路を船のように白波を立てながら平然と(?)進む光景だ。「大丈夫なのか?」と思わず心配になる。無論、大丈夫ではないケースは多々あって、やがて動けなくなり、クルマを乗り捨てて、脱出を図る光景を見ることも少なくない。「だから言わんこっちゃない。なんで行けると思ったんだろう?」と、誰もが訝しがっているに違いない。

自宅・目的地まであと少しでも求められる「引き返す」英断

 ところが、実際に冠水路に出くわした人に聞いてみると、「運転席からは水深がどの程度なのかまったく判断できず、行けそうな気がしてしまう」のだと言う。激しい降雨で視界が遮られ、しかも見通しのききにくい夜間だったらなおさらだろう。

 さらに言えば、自宅あるいは目的地まで、あとわずか数キロ、数百メートルの距離だとしたら、Uターンをして遠まわりしてでも安全に帰宅(または到着)しようと考える人がどれほどいるだろうか? 当該企画の取材にご協力いただいた千葉県内の某大手損害保険会社の代理店の方も、過日の千葉県豪雨災害で自動車保険適用の水没被害を10件ほど扱ったと言う。

「そのなかのひとりのお客さまが、まさに自宅までわずか数百メートルという場所で冠水路に進入して水没。結局、クルマは全損扱いになりました。たしかに、自宅を目の前にして引き返すという選択は難しかったのかもしれませんね」

 もちろん、運よく強行突破できるケースはあるのかもしれない。しかし、面倒な思いをしたくないという理由で、本来なら避けることができた被害に至ったケースも山ほどあるはずだ。

 とはいえ、冠水路への進入を思いとどまらせる歯止めはある。浸水させてしまった際のクルマが受けるダメージの大きさ、それに伴う多額の経済的損失だ。

 テレビや新聞など、さまざまなメディアで取り上げている、冠水路の危険性を認識することはもちろん大事だ。しかし、「もしクルマを水没させてしまったらどうなるのか? どれほどの損害を被るのか?」それらを知ることもまた浸水被害の抑止になるはず。以下、説明したい。

漏電で車両火災のリスクも電気系統へのダメージ

 自動車メーカーでは新車開発の際に水路を使った走行テストも実施しているとはいえ、それは一定条件下でのこと。密閉されたケース内に部品を収める完全防水仕様の時計のようなわけにはいかない。車種にもよるものの、水深30cm以上の冠水路であれば、マフラーやエンジンルームへの水の侵入は避けられないと考えていいだろう。

 ご存知のとおり内燃機車は空気を吸って燃料を燃やす仕組み。本来入るべきではない水がエンジン内部に送り込まれればたちまち機能を失う。実際、過去編集部に深い水たまりに勢いよく突っ込み、エンジン内に水を吸い込ませて完全に破壊してしまったスタッフがいて、結局、新品のエンジンに載せ替えざるを得ない事態となった。

 車種によって差はあるものの、数十万から数百万単位の修理費用が求められるのは当然のこと。これは精密で複雑な機構を持つトランスミッション(AT)などでも同様のことが言えるはずだ。さらに、あらゆる機能が電子制御されている近年のクルマは、無数の電気配線ケーブルでコンピュータと各部がつながっている点も厄介だ。とくに問題となるのはそれらの結合部(=コネクタ)で、一定の防水加工が施されているとはいえ、水に浸かれば、しばらくのあいだは問題なくても、いずれサビを発生して漏電の原因に。最悪、車両火災に至るケースもある。

 ちなみに、大型のバッテリーをフロア下に配置するハイブリッド車や電気自動車のユーザーのなかには、浸水/水没した際の(感電などの)危険を強く感じる人もいるだろうが、動かないからといって一般ユーザーが無闇に手を出さないほうがいいのは当然として、このあたりのことはメーカーも万全に対策済み。心配には及ばないようだ。

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