
この記事をまとめると
■ジャガーは過去に新たな「Type 00」を発表している
■市販モデル「Type 01」のデザインは「ジャガーらしくない」と否定的な声が多い
■随所に歴代の名車を彷彿とさせる要素が織り込まれている
ファンはこれでいいのか? メーカーの意図を読み解く
ニューヨークで世界初公開された、新生ジャガー初の市販車となる「Type 01」のデザインが話題沸騰中です。「新しいジャガーにふさわしい」「ジャガーの伝統を壊した」など賛否が渦巻くスタイリングは果たしてアリなのか? 公開された写真から、今一度チェックしてみたいと思います。
●賛否渦巻く超個性派スタイリング
「Type 00」が2年前に発表された際は誰もが驚いたワケですが、それでも「まあ、これはコンセプトカーだからネ」なんて油断していたところ、ほぼそのままのイメージで「Type 01」が登場したのですから、こうして賛否が渦巻くのはごく自然な話です。
とりわけ、「カッコ悪い! 」「こんなのジャガーじゃない! 」という声は、独特のプロポーションやボディサーフェスへの感想であり、恐らくほぼ反射的な反応だと思われます。
知識としては、低いルーフとロングノーズは歴代、たとえばEタイプやXK120などジャガー特有のフォルムだし、とりわけXJSあたりにオリジンがあるのは理解できるハズ。ただ、前後に伸びるブ厚いボディ、とくに高い鼻先には、多くの人が違和感をもったのではないでしょうか。
そこは、新生ジャガーが車種を絞った上で上級シフトし、このクルマが「ラグジュアリー4ドアGT」という新ジャンルであることを知る必要があります。さらに、あえてここでミもフタもない話をすれば、その違和感は「実車を見ないことには判断がつかない」という至極当然の話があります。というのも、斜め前や真横の写真では「長い! 」と感じるノーズも、リヤやプランビュー、あるいは公式サイトの動画では望外に長く感じないのです。
これは、最近だと三菱の新型パジェロに似ていて、写真ではヒョロ長いと感じたボディが、実車では想定外に凝縮感があったんですね。やはり写真は真実を伝えないのかもしれません。
●圧倒的かつ新しい存在感とは?
もうひとつ、フレームレスドアを用い、全身にわたってトリム類のない平滑なサーフェスも新しい要素です。ご存じのとおり、これはグループのデザインを統括したジェリー・マクガバン(2025年末に退任)が、現行レンジローバーでも実践している手法。偶然なのか、ライバルとなるベントレーも昨年発表したコンセプトカー「EXP15」で同様の表現が見られます。
この平滑な面と相性がいいのが平行線による積層表現です。これは近年の建築でも見られる手法ですが、「Type 01」ではフロントやボンネット、リヤパネル、そしてドアミラーやホイールにまでも施されており、先進性や近未来感を醸し出しています。
で、これがもっとも端的に表れているのが、ジャガー自ら「ストライクスルーグラフィック(二重取り消し線)」と表現しているフロントフェイスであり、これまた賛否を呼んでいる部分でもあります。
最新のEVとして、開口のない面に引かれた平行線はモダンですが、ヘッドライトもミニマムな「線」としたことで表情がなくなり、ジャガーとしての個性がほとんど感じられないのです。これは、同様にミニマムなボディのレンジローバーが、ヘッドライトやグリルに「らしさ」を残すことで違和感を抱かせないのと対照的です。
もし「Type 01」の顔に、わずかでもジャガーのアイコンとなる表情があれば、恐らくは全体のイメージも大きく変わったと思えます。さらに、金属の冷たさを感じるメインカラーのシルバーサテンに対し、ホワイトでは一気に身近に思えるなど、このスタイリングには多様な面があるのです。その点でも「顔」にもう少しの要素があれば、賛否の様子も違ったかも? ですね。
まあ、デザインの指揮をとったジェリー・マクガバンは、そんなことは重々承知で「新しく、かつ圧倒的な存在感」を示したのでしょう。好き嫌いは個人によりますが、それを超えた純粋なデザインのクオリティをどう読み解くか。このクルマは「見る側」の意識を問うているのかもしれません。
