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【試乗】やりすぎない仕上がりのトヨタ「86 GR」は大人のスポーツ (2/2ページ)

【試乗】やりすぎない仕上がりのトヨタ「86 GR」は大人のスポーツ

スタビリティ重視で安定方向の味付け

 2016年に発売された「究極のロードゴーイング86」と呼ばれた86GRMN。ニュルブルクリンク24時間耐久レースでクラス優勝したレーシングカーのロードバージョンという位置づけのモデルとして開発、その走りは高く評価された。86GRMN開発での培った技術や知見はKOUKI(後期:マイナーチェンジ後の86)にフィードバックされているが、それをより色濃く反映させたモデルが「86 GR」だ。

 エクステリアはGRMNをモチーフにしながら、GR用として機能と意匠を最適化させたエアロデバイスをプラス。インテリアは加飾を含めブラックのモノトーンでコーディネイトされ、専用のスポーツステアリング、メーター、そしてGRMNと同形状のレカロシートが奢られる。

 ダックテール形状のリヤスポイラーや落ちついた印象のインテリアは、シニア世代には刺さる演出だと思う。

 シャシー系はフロントステアリングラックブレースとリヤサスペンションメンバーブレースを追加。サスペンションはノーマルモデルでも高い評価のZFザックス製がベースのGR専用チューニング品。タイヤは前後異形サイズ(フロント215/45R17、リア235/45R17)のミシュラン・パイロットスポーツ4にGRMN譲りのアルミホイール(RAYS製鍛造)の組み合わせ。

 その走りは86GRMNのピュアな走りの良さを活かしながら、ハンドリングと快適性のバランスを“大人向け”最適化。クルマの動きは86GRMNより穏やかで心地良いダルさと235サイズのリヤタイヤとスタビリディ重視の味付けにより安心感が非常に高い。

 人によってはアンダーっぽく感じるかもしれないがそれは限界が高い証拠。セオリーどおりのドライビングを行えばFRらしさはシッカリ感じ取れる。当然、テールスライドの速度域はノーマルより高いが、コントロール性と懐の深さが備わっているので、次元の高いテールスライドが可能である。

 今回はサーキットのみの試乗だったが、縁石を乗り越えたときのアタリのまろやかさや吸収性の良さ、目線のぶれ難さ、そして直進時の座りの良さなどから高速道路などでの「GT性能」もかなり高そうな予感だ。

 パワートレインはノーマルから変更ないが、専用センターシングルエキゾースト採用により、全域で迫力あるサウンドを奏でるものの、欲を言えばパワートレインとシャシーのバランスは“シャシー勝ち”のため、もう少しエンジンパワーが欲しくなったのも事実だ。個人的には「モンスター」のコンプリートエンジン「FA24(2.4リッターで243馬力/26.2kgm)」を搭載してみたら、よりバランスのいいクルマになるように感じた。

 生産はスバルで生産されたベースモデルがトヨタの元町工場へ搬送され、ここでGR用の内外装や足回り、アンダーフロアなどのパーツを匠の手により組み付けが行なわれる。

 86GRはルックスも走りもGRMNの味をシッカリ継承するが、決して量産型GRMNではなく独自の味を持つ一台に仕上がっていると思った。

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