【意外と知らない】BMWの「M」には3つのグレードがある

ライトなM SportからハイエンドのMまでを展開

 BMWといえばプレミアムブランドのなかでスポーティ度が濃いイメージが強い。とくに、各セグメントのモデルに用意されている「M」シリーズは、BMWというブランドを象徴するハイパフォーマンスモデルとなっている。BMW M社が開発する、こうしたモデルにおいてセダンやクーペでは「M#」、SUV系では「X#M」というネーミングの付け方も共通となっている。M社

 そのMモデルには、青・紫・赤からなる専用エンブレムが備わっているのもお約束だが、そのMエンブレムの後ろに三桁の数字が並ぶモデルがあることを、ご存知だろうか。たとえばBMW最小のFRである2シリーズ・クーペには、「M240i」と「M2」という2つのMモデルが存在している。

 この2台、いずれも3リッター直列6気筒ターボエンジンを搭載している。それぞれの最高出力は、M240iが340馬力、M2が370馬力と大差はない。2ペダル車が組み合わせるトランスミッションがM240iは8速AT、M2では7速DCTという違いもあるが、どこが異なるのかわかりづらい面があるのは否めない。

 しかし、M240iとM2は明確に違う存在だ。前者は「M Performance Automobiles(エム・パフォーマンス・オートモービルズ)」なのだ。「M Performance Automobiles」とは、BMW Mモデルと、BMWのトップ・エンド・モデルの中間に位置づけられるモデルである。各カテゴリー、セグメントにおけるBMWのトップ・エンド・モデルをベースに、パワートレインおよびシャシーに、BMW M社がスポーティなチューニングを施したモデルとなっている。

 すなわち、2シリーズクーペでいえば、M2はBMW M社が開発したマシンで、M240iはBMW M社がチューニングしたモデルということになる。非常に微妙な違いに思えるが、ここには明確な違いがある。その象徴といえるのがエンジンの違いだ。前述したように、いずれも3リッター直6エンジンだが、総排気量の数字を細かくみると、M2は2979ccで、M240iは2997cc。

 この排気量の微妙な違いは、すなわち腰下(エンジンブロック、クランクシャフト、ピストンなど)が異なることを意味している。ここに注目して区別するならば、量産エンジンをチューニングしたのがM240i、専用エンジンを与えられたのがM2という見方ができよう。

 さらにBMW M社には『M Sportなどに採用される専用部品の開発』というミッションもある。カタログモデルとしてラインアップされるM Sportグレードもまた、正統なBMW M社の血統といえる。たとえば、日本仕様の2シリーズクーペでいえば、2リッター4気筒エンジンの220i MSportにはじまり、M240i、そしてM2と3つのMの血を受けたモデルが存在しているのだ。その濃度に違いはあれど、いずれも正統なBMW Mの一族である。

 なお、Mの後に3桁の数字が続く「M Performance Automobiles」は、1シリーズ、2シリーズといったコンパクト系だけでなく7シリーズにもラインアップされるなど拡大中。本国では5シリーズ、X5、X6にも設定されているということもあり、日本仕様への展開に期待が高まる。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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