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驚きの上客争奪戦! タクシー配車ウラ話 (1/2ページ)

驚きの上客争奪戦! タクシー配車ウラ話

バルブ時代は現金払いで怒鳴られたことも

 いまから30年ほど前、日本中がバブル経済に沸いていたころ、とくに東京では深夜にタクシーを捕まえるのは至難の業であった。なかには繁華街の道路脇で1万円札をひけらかせてタクシーを止めようとしたひとがたくさんいたなどという話は、いまでも語り継がれている。

 当時といえば、タクシーは深夜になればたいがい無線の受信状態の良い場所で回送表示をかけて待機し、ロング(長距離の利用客)の出やすい場所(店など)からなどの配車要請があれば、我れさきにその無線に応じて馳せ参じるという営業パターンが目立っていた。ただ、ロング客でも現金だと「チッ」と舌打ちされたり、あからさまに「こんな遠くまできて現金か!」と運転手に怒鳴られたこともある。

 なぜ現金を嫌うのか? その答えは、当時はほぼ無制限といっていいほど、各企業はタクシーチケットを使いまくっていた。しかも白紙で運転手に渡すこともほぼ常態化していた。つまり運転手が自由に金額を記入することができたのである(もちろんメーター料金との整合性があるのだが、チップとしてメーター料金に上乗せして記入することがあったようなのだ)。その当時は領収書添付もなく、まさに運転手は自由に金額を入れていた。

 ただそのころの反省から、それ以降はお客自らが金額を書き込み、さらに領収書と同時にプリンターから出てくる支払い証明のようなものを添付するなど厳しくなっている(いまどきはタクシーチケットの使用は契約企業自体も厳しく管理しているのが実状)。

 時が変わりタクシー無線もデジタル化が進み、半自動や全自動で配車されるのが当たり前の時代となった。無線配車が営業のメインとなる地域では、無線待機場所(たいていは駅ロータリーとなる)で待機するときは配車の順番も決まっており、“争奪戦”のようなものは影を潜めてきた。代わって自分の会社で無線センターを持っていたりすれば、そこの無線オペレーターを運転手が買収して、上客を会社に黙って優先配車させるなどということはあったようだ。

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