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ランエボとパジェロを融合!? 三菱エクリプロス クロスを担当したデザイナーのこだわりとは (2/4ページ)

ランエボとパジェロを融合!? 三菱エクリプロス クロスを担当したデザイナーのこだわりとは

まさに三菱自動車の新時代の幕開けを告げるデザイン

 三菱らしさを守りながら、三菱にしかできない新たな挑戦を──。そんな気概で臨んだ新型エクリプス クロスのデザイン開発。そこに待ち受けていたのは、予想を超えるいくつもの大きな壁だった。デザインチームのみなさんに開発プロジェクトを振り返っていただいた。

 2014年にデザイン本部長に就任した國本恒博さんが先頭に立つ形で、新デザイン戦略の構築に着手。その成果となる量産第1号が、新型エクリプス クロスだ。開発プロジェクトでデザインのまとめ役を務めた岡本俊彦さんは、開発当初のことを次のように振り返ってくれた。

「エクリプス クロスのデザイン開発がスタートしたのは、國本本部長が来る前のことです。当時から、三菱自動車として新たなデザインにチャレンジしようという機運はありましたし、SUVの機能をしっかり満たしたレイアウトと、スポーティでダイナミックなクーペスタイルを融合させるというコンセプトも、開発当初から変わらないものです。ですが國本本部長が来てからは方向性が明確にされ、デザイン戦略を見据えたうえでの軌道修正が行われた印象です」

 初期に描かれた4案のスケッチや、そこから選ばれた2案をもとに作られた4分の1スケールのモデルは、國本本部長就任以前のもの。ここには最終的な量産型に通じるデザイン要素がいくつも見出せるが、表情の豊かさに欠けた印象が否めない。

 その後、この2案をもとに『』というショーカーが製作されるが、それは國本本部長が来てからのこと。デザインは見違えるような変化を遂げている。エクステリア担当の吉峰典彦さんが解説してくれた。

「少し色気が出たと言いますか、力強さのなかにエモーショナルな魅力が感じられるデザインになっています。じつはデザインのキーとなるものはそれほど変わってないんです。大きく違うのは、ネガ面を使ってシャープラインを強調させたり、鉄の板が自然と曲げられたような『本物感』が感じられるRを付けたり、あるいはコントラストの付け方を工夫したりといった、面や線の細かな処理なんです」

 リヤのフェンダーまわりの抑揚も見た目には非常に豊かだが、室内空間を最大限に確保するため、先述したネガ面を使った表現などで、実際の寸法以上に視覚的に豊かに見えるように造形されている。こうした表現は、従来の三菱デザインではあまり見られなかったものだ。また、この段階になるとフロントマスクの「ダイナミックシールド」もかなり明確に表現されている。

「グリルについては、それ以前からランサーエボリューションのジェットファイターをもう少しエコロジカルな方向に振った優しい表情にしようとか、SUVとしての三菱らしいデザインとはなんだろうといったことを考えながら模索していました。ですが、自分たちが求めているものがなんなのかを掴みきれずにいたんです。ところが國本本部長が、このグリルはランエボとパジェロの融合だと言い切ったんです。ハッとさせられました。なんとなく自分たちでもわかっていたけれど、言葉で明確に伝えられるようなレベルにはなっていなかったんです」(吉峰さん)

「國本本部長は従来の三菱のデザインを否定することは一切なく、むしろわれわれが長年やっていて当たり前になって気付けなくなっていたことを、『三菱にはこんないいデザインがあるじゃないか』と客観的な目で教えてくれたんです」(岡本さん)

 新型エクリプス クロスは、新デザイン戦略の第1弾モデルであると先述したが、こうして話をうかがうと、エクリプス クロスのデザイン開発によって、新デザイン戦略が明確に打ち立てられていったということがわかる。

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