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【ペダル踏み間違い事故をなくす有効手段!】クルマの「ブレーキオーバーライドシステム」の仕組みと提案 (1/2ページ)

【ペダル踏み間違い事故をなくす有効手段!】クルマの「ブレーキオーバーライドシステム」の仕組みと提案

アクセルとブレーキを同時に踏み込むとブレーキが優先的に作動

 令和元年も多くの悲惨な交通事故が多発した。とくに印象に残るのが池袋の暴走事故だ。80歳を越える高齢の男性が2代目プリウスを暴走させ赤信号の交差点に進入。右折中の清掃車に側面から衝突し、手前の横断歩道を青信号で渡っていた自転車の母子をはね飛ばし死亡させた。運転していた高齢男性は「クルマが予期せず加速してしまった」と述べていたそうだが、客観的に見てアクセルとブレーキを踏み間違えた疑いが濃いのは明らかだった。

 本件の発生場所は両親の墓地の近くで僕自身もよく通る道でもあり、自分が巻き込まれていてもおかしくない事案ということもあって注目した。そして、もし高齢男性がブレーキオーバーライドの存在を知っていて、適切に対処していれば被害を軽減できたかもしれないとも考えた。そこで今回はこの「ブレーキオーバーライドシステム(BOS)」について述べたい。

 BOSの役割はアクセルとブレーキの両方を同時に踏み込んだ時にブレーキ側を優先的に作動させるシステムだ。最近のクルマではほとんどに装備されているが、2010年頃までの装着状況は半々の割合だった。2009年頃から北米でトヨタ車にアクセルが戻らず急加速した、とかブレーキを踏んだが利かないといったリポートが寄せられ、トヨタや米国の関係機関が徹底的に調査した。

 その結果、アクセルが戻らないのはフロアマットが引っかかっていたのが主原因であることや、ブレーキが利かないと思った例はアクセルと踏み間違えていることなどが判明した。だがトヨタはこうした事態を回避するため、2011年以降すべての販売車両にBOSを装着することを決めたのだ。

 BOSは電子制御スロットルを制御するシステムとして開発されていたもので、これをブレーキとアクセルを同時に踏み込んだ時にブレーキ優先に作動させるようチューニングしているもの。スロットルは旧来アクセルペダルとスロットルバルブをワイヤーで物理的につなぎドライバーの操作に応じてスロットルバルブを開閉していた。これだとワイヤーがひっかかるとスロットルを閉じられなくなって暴走する、ワイヤーが切れると加速できなくなるなどメンテナンスの重要性が高かった。

 近年は電子制御スロットル化が進みワイヤー式はほとんど消滅。アクセルペダルはスイッチユニットとしてのみ機能していて、スロットルバルブは電気アクチュエーターが動作して開閉している。もしドライバーがアクセルとブレーキを同時に踏み込んでいたらコンピュータがプログラムに沿ってスロットルバルブを閉じブレーキ液圧を高める。したがってドライバーが何らかの要因でアクセルが戻らないと判断した時にブレーキを強く踏み込めば、確実に減速し被害を軽減することができる。フロアマットにアクセルが引っかかるなどの事態には有効に作用するものだ。

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