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止まるも曲がるもできず「操作不能」に陥るケースも! 濡れた路面が滑る理由をレーシングドライバーが解説 (1/2ページ)

止まるも曲がるもできず「操作不能」に陥るケースも! 濡れた路面が滑る理由をレーシングドライバーが解説

ウエットな路面が滑りやすくなるのは水幕のせい

 雨の日の濡れた路面は滑りやすい、というのはクルマを運転しない人でも理解していることだろう。しかし、近年はABS(アンチロックブレーキシステム)やESP(電子制御スタビリティプログラム)などの進化、普及により、クルマを運転している人のほうが「濡れた路面」の滑りやすさに無頓着になってしまっているかもしれない。

 濡れた路面はなぜ滑るのか。それはタイヤの接地面と路面の間に水幕が存在するからだ。運転免許を持っている人なら「アクアプレーニング」とか「ハイドロプレーン」とかいう言葉を聞いたことがあるだろう。高速で走行中に水たまりなどに突っ込むと、タイヤ接地面と路面の間に水幕が発生し、タイヤが水上を滑空するよなプレーン(飛行)現象が発生してしまうことをいう。アクアプレーニングが発生してしまうと、ブレーキを踏んでも制動がかからず、ハンドルを切っても反応しなくなり、非常に危険な状態に陥る。実際にそれを体験したことのある人は少ないかもしれないが、ウエット路面でのサーキット走行など、高速でドライブしていれば必ずハイドロプレーンが起こっているといっても過言ではない。

  

 ハイドロプレーンの発生を少なくするために、タイヤにはトレッドパターンという溝が刻まれている。この溝に路面の水を吸水させ、遠心力で掃き飛ばすことでトレッドゴムが路面に付くようにするのがパターンの狙いだ。乾燥舗装路用のレース用スリックタイヤには溝がまったくないが、これは路面に水幕が無いので溝が不要であり、それよりも少しでも大きな接地面積を得てグリップを引き出せるよう開発されている。もしスリックタイヤで走行中に突然の雨に襲われたら、サーキットは大混乱に陥る。危険を回避して好成績を獲得するためには天候を正確に予測することも重要で、近年のレースチームは気象レーダーすら活用しているのだ。

 一口に雨といっても雨量はさまざまだ。ポツリポツリと路面を濡らす程度であればミュー(摩擦係数)は下がるがハイドロプレーンは起きない。だがザーザーと本降りとなり、大きな水たまりや川が路面を流れるようになると極めて危険だ。ひとつの目安として、ハイドロプレーンが発生する速度を求める計算式がある。V(速度)=63√P(タイヤ内圧)で知られる。この公式は米国のNASAが導き出したもので、たとえばタイヤの内圧設定が2kgf/cm²だとすると、V=63×1.414≒89km/hとなる。つまり、時速89キロを超えるとハイドロプレーンを引き起こすことになるのだ。国内の高速道路では最高速度が120キロに引き上げられたが、雨天時などは時速80キロ以下に引き下げられることが多い。それはハイドロプレーンを起こさせないために有効な設定だといえる。近年のクルマはタイヤの空気圧が2.5〜3kgf/cm²と高圧に指定されている車種も多い。3kgf/cm²だとしてもV≒109km/hなので、120km/hでは危険が生じる。

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