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【試乗】ここまで日本に合わせてくるとは! ヒョンデの小型EV「インスター」は日本市場をガチで獲る気満々のクルマだった (1/2ページ)

【試乗】ここまで日本に合わせてくるとは! ヒョンデの小型EV「インスター」は日本市場をガチで獲る気満々のクルマだった

この記事をまとめると

■コンパクトながら最大458km走行可能なBEV「インスター」がヒョンデから登場

■室内空間の広さと多彩なシートアレンジで快適な使い勝手を実現

■日本独自チューニングと充実装備で、初めてのBEVにも最適な一台に

ヒョンデが満を持して投入するコンパクトBEV

 5ナンバーサイズのコンパクトボディで小まわり性能抜群なのに、最大458kmも走れる頼もしさが特徴の新型BEV、INSTER(インスター)。ヒョンデとして日本導入第4弾となるBEVは、これまで培ってきたヒョンデの技術とノウハウを惜しみなく投入しており、このインスターから新たに採用された技術もあるほど。

 インスターのコンセプトは、「自由をたのしみ、ゆとりをたのしむオールマイティ・スモールEV」。IONIQ 5やKONAより小さいから車格が下、装備も省く、という考え方ではなく、「これまでの集大成」というべき進化が感じられる1台となっている。

 エクステリアデザインは、強烈な個性だったIONIQ5から始まったピクセルデザインを踏襲しつつ、丸型LEDランプが親しみやすいフロントマスクを形成し、「個性的すぎない」けれど、ひと目でヒョンデのクルマだとわかる絶妙な塩梅。

 サイドは、ホイールハウスを樹脂パネルで囲んだり抑揚のあるボディラインを採用して、SUVらしい力強さがプラスされており、全長が4mを切る3830mm、全幅が1610mmと、5ナンバー規定ギリギリではなくひとまわり小さいにもかかわらず、しっかりとした存在感を放っている。

 全高は1615mmあり、機械式立体駐車場に多い1550mmは超えてしまうが、最低地上高が145mm(自社計測値)確保されているので、多少の荒地や雪道ではアドバンテージを発揮するはずだ。

 室内に入ると、ゆったりと過ごしてほしいからあえて4人乗りとした、という空間の広さに驚く。インスターはホイールベースが2580mmだが、全長が3810mmとほぼ同等のスズキ・ソリオのホイールベース2480mmなので、その長さが前席だけでなく後席の余裕の広さまで実現し、コンパクトカーとしては厚みのある贅沢なシートを装備することを叶えている。

 BEVは充電している時間を車内で過ごすことも多くなるので、この居心地のいい空間は魅力的。後席にドリンクホルダーやセンターアームレストがないことが残念になってしまうほどだ。

 しかもシートアレンジが多彩で、前席・後席とも前後スライドとリクライニング、さらにはフルフォールディングが可能で、すべて倒すとフルフラットなスペースに変身。身長165cmの私が寝転がってみたところ、そのままだと継ぎ目のところに凹凸ができてしまい、足先のほうがやや高く傾斜してしまうものの、サイズは余裕。薄いマットレスやクッションなどで対処すれば、かなり快適な車中泊ができるのではと感じた。助手席だけを前倒しにするとテーブル代わりにもなり、さらに使いやすくなるアタッチメントアイテムも純正アクセサリーとして用意されている。

 試乗したのはトップグレードとなる「Lounge」。搭載されるバッテリー容量が42kWhとなるベーシックグレード「Casual」は、内外装の装飾だけでなくバッテリーマネジメントにも影響するヒートポンプシステムまで省かれる、まさにアシグルマに徹した内容となっており、そのかわり価格は税込284万9000円という驚異的な設定。補助金次第では軽EVの日産サクラと競り合うほどだ。一充電航続距離はまだ認証手続き中ながら、180kmのサクラの2倍以上となる見通しなだけにかなり戦略的な価格といえる。

 そして、バッテリー容量が49kWhとなるのが「Voyage」と「Lounge」で、予防安全装備はどちらもフルでついており、室内の使い勝手に関する装備もほぼ同等。

 でも、「Lounge」は前席がシートヒーターに加えてシートベンチレーションがついたり、電動スライド式サンルーフ、200V充電ケーブル、ステアリングヒーター付きの本革巻ステアリングなどが手に入る。タイヤ・ホイールも、「Voyage」が15インチのところ「Lounge」は17インチとなっている。

 運転席に座ると、奇をてらうところのないナチュラルな雰囲気のお部屋のようなインテリアが広がる。ステアリングにヒュンダイの「H」のエンブレムがないのはIONIQ5からのお約束で、なるべくクルマっぽさを排除するという気づかいだ。

 物理スイッチは多くがセンターパネルの中央にまとめられており、アイコンや文字も見やすくて使いやすい。目の前のメーターは3つのグラフィックが選択できるようになっており、速度計と回転計が並ぶクラシックなものと、まるでインスターが鼓動しているように未来的な「cube」というデザインがある。

 収納スペースはオープントレイやポケット、カップホルダーと十分に揃う。Loungeには非接触充電も装備されていた。それでも助手席のほうに移動できるサイドウォークスルーができる隙間があるので、運転席から乗り降りしにくい場所でも便利に使えるはずだ。

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