
この記事をまとめると
■トヨタとホンダはそれぞれ800ccのエンジンを搭載した2シータースポーツを用意していた
■トヨタ・スポーツ800はエンジンこそ非力であったが軽量と空力を武器とした
■ホンダ S800は車重は重かったがエンジンパワーでそれをカバーした
800cc+2シーターのライトウエイト対決
トヨタ・スポーツ800は1965年、ホンダ S800は翌66年に発売された、ふたり乗りのライトウェイトスポーツカーだ。自動車レースの場面では、競合の関係にあった。とはいえ、その特徴はまったく異なる。
トヨタ・スポーツ800は、トヨタの大衆車だったパブリカのガソリンエンジンとシャシーを活用して開発された。大衆車用エンジンとしてパブリカでの排気量が700ccであったのを、800ccへ容量を拡大した。
それでも、エンジン形式はOHV(オーバー・ヘッド・バルブ)のままで、最高出力は45馬力という動力性能だった。そこからいかに壮快な走りを実現するか。それが、開発の鍵を握った。
そこで同車が目指したのは、軽量化と空力性能の高さだ。
ほとんどの部品にパブリカの物を流用したうえで、車両重量は580kgに収めた。いまの軽自動車でさえ、700kg前後の重さがある。いかに軽量かがわかるはずだ。外観の造形では、水槽を使った流体実験も行ったという。
開発を主導した長谷川龍雄は、立川飛行機からトヨタに入社した技術者で、流体力学に造詣が深かったとされる。スポーツ800のあと、初代カローラの開発責任者になった。