
自社開発車両の「フェアレディZ」を唯一投入
11号車:GAINER
GAINERは20年以上の歴史を持つ京都拠点のレーシングチーム。GT300ではチャンピオン経験もあり、2014年にはメルセデス・ベンツSLS AMG GT3でチームタイトルを、2015年には日産GT-R NISMO GT3でドライバー(アンドレ・クート)、チームの2冠を達成するなど実績も十分。
ただ、GAINERの真骨頂はモノづくりにある。ファクトリーには自前の工作機械があり、SUPER GTに限らず、スーパーフォーミュラやスーパー耐久で使われる機材も製造・供給しているのだ。
そして、レーシングカーの製造・開発も手がけており、過去にも自社製作のフェラーリF430で参戦。そして昨年からは、チームにとって久々のオリジナル車両である日産 フェアレディZを投入した。しかも近年主流のパイプフレームではなく、市販車の量産モノコックをベースにしているというから驚きだ。
福田洋介代表によると、市販車のモノコックを使うことで高いスキルと高度な知恵を要求されることから、「人を育てる」ことができる点にメリットを見出しているという。
デビュー直後は度重なるトラブルに苦しんだZも、その後はコンスタントに入賞を記録するなどポテンシャルの片鱗を見せている。2年目の今季は課題の軽量化に取り組みつつ、さらなる性能アップを目指す。
ここまで聞くと職人肌なチームという印象を受けるかもしれないが、チームカラーは関西系チームとあって朗らか。「ピットのなかでも、予選3分前なのにバカ笑いしてたりします。あまり緊張感を出したりするのは好きじゃないんです」と福田代表は笑顔を見せる。
Aドライバーとしてチームを引っ張るのは富田竜一郎。非常に落ち着いた雰囲気と理路整然とした語り口が印象的な富田は、カテゴリーやチームによっては実質的に監督やエンジニアも兼務できるほどだという。
ただ、福田代表からは「無線とかでは感情むき出しで喋ったりするんですよ」と意外な一面も明かされた。
コンビを組むのは新人の大木一輝。スーパー耐久やフォーミュラ・リージョナルで経験を積み、今季ついにSUPER GTのレギュラーシートを掴んだ23歳だ。
彼は大学卒業に伴い名古屋から上京し、昨年からレース活動の傍らでインパルの世田谷ショールームでも働いている。ちなみに福田代表は新加入の大木の印象について、「赤旗と雨を呼び込んでしまう男」とおどけてみせる。今度は持ち前の速さでも爪痕を残せるか。