
この記事をまとめると
■スーパー耐久シリーズにTeam HRCから「CIVIC TYPE R HRC Concept」が参戦中
■ドライバーは大津弘樹選手・野村勇斗選手・辻本始温選手の3名
■スーパー耐久のST-Qクラスに挑む「CIVIC TYPE R HRC Concept」から目が離せない
TCR仕様車をベースにしたCIVIC TYPE R HRC Concept
スーパー耐久シリーズ第5戦が7月26〜27日、大分県のオートポリスを舞台に開催。今大会はST-ZクラスおよびST-1クラスが休止されたものの、各クラスで5時間の激しいバトルが展開されていたのだが、そのなかでもっとも注目を集めた一台が、Team HRCが投入した271号車「CIVIC TYPE R HRC Concept」だ。
ご存じのとおり、Team HRCはホンダのワークスチームで、2023年の富士24時間レースよりスーパー耐久での活動を開始。市販モデルをベースにカーボンニュートラル燃料を使用した「CIVIC TYPE R CNF-R」を武器にST-Qクラスに参戦していた。
当時の活動について、チーム関係者は「かつて国内の草の根レースといえばシビックが主流になっていた時代もありましたが、いまは少なくなりましたよね。そういったこともあって、社長の渡辺康治が“シビックで活動するカスタマーを増やしたい”、“参加型レースに挑むユーザーを応援したい”という想いから、市販車ベースのモデルでスーパー耐久への参戦を開始しました」と語る。
さらに、「市販車ベースのマシンに関しては、この2年間で開発が進んで誰にでも乗りやすいクルマになってきましたし、そのノウハウを供給するなどサポートをし、実際にST-2クラスにおいてCIVIC TYPE Rで参戦するエントラントが増えてきたので、今年はステップを上げて、より高い速度領域での開発にトライすることになりました。TCRの次期モデルの開発ではなく、あくまでもTCRをプラットフォームにしてパーツ開発を行っていきたいと思います」とのことで、2025年より、TCR仕様車をベースとするCIVIC TYPE R HRC Conceptで、ST-Qクラスにチャレンジすることになったのである。
ドライバーのラインアップもスーパーフォーミュラおよびスーパーGTで活躍する大津弘樹選手を筆頭に、スーパーフォーミュラライツで活躍する若手の野村勇斗選手、女性ドライバーとしてさまざまなカテゴリーで活躍する辻本始温選手といったように充実した顔ぶれだ。
一方で、気になるCIVIC TYPE R HRC Conceptに関しては、デビュー戦となった九州ラウンドでは、TCR仕様車そのままの状態で、ST-TCRクラスに設定されているサクセスウエイトこそ搭載されていないが、それ以外で目立ったアップデートは行われていなかった。
その理由について、国内四輪レース運営の責任者であるHRC開発部運営室の桒田哲宏室長は、「これまでの市販車ベースのマシンでは、エンジンにしてもミッションにしても、キャパシティが限られていますからね。開発の幅を広げるためにTCR仕様車を採用しました。とはいえ、まずはベースを理解しないと今後のパーツ開発で正しい評価ができないので、いまはTCR仕様車を把握することをターゲットに置いています。合わせて開発が行えるチーム体制を整えていかないといけないので、そういったことが今シーズンのメインになってくると思います」とのことだ。