
この記事をまとめると
■インドネシアで三菱は日本とほぼ同規模の販売台数を記録しシェア8.3%で5位に入った
■エクスパンダーとエクスフォースに加え新型SUVデスティネーターの人気が見込まれる
■タフなブランドイメージと戦略的価格設定で中間所得層に強く支持されている
アジアで日本以上の存在感
2024暦年締め(2024年1月~12月)でのインドネシア国内における年間新車販売台数では、三菱自動車が7万2217台数となり(インドネシア国内での新車総販売台数は86万5723台/インドネシア国内シェア8.3%)、ブランド別ランキング5位となっている。日本国内では軽自動車販売台数を含めての2024暦年締め年間新車販売台数が11万9501台なので、日本での新車販売台数と大差のないレベルをインドネシアで販売していることになる。
またフィリピンとベトナムでは、2024事業年度(2024年4月~2025年3月)締めの年間新車販売台数ではいずれも過去最高を記録している。そもそも東南アジアにおいて三菱自動車は1トン積みピックアップトラック「トライトン」と、トライトン派生のSUV「パジェロスポーツ」の人気が高く、この2枚看板で東南アジアでは高いブランドステイタスを維持していた。
そして、2017年に3列シートをもつコンパクトMPVとなるエクスパンダーをインドネシアでワールドプレミアさせ、順次東南アジア各国にも市場投入するといずれも大ヒットとなった。さらに2019年にはエクスパンダー派生モデルとしてSUVテイストをもたせた「エクスパンダー・クロス」を発表すると、これもまた大ヒット。東南アジアでの人気モデルの地位を不動のものとした。
韓国ヒョンデも追随する形でエクスパンダーシリーズのガチンコでのライバルとなる「スターゲイザー」と、それをベースにしたSUV風モデルとなる「スターゲイザーX」を市場投入するが、エクスパンダーに比べると最近では販売面で息切れ気味の市場も目立ってきている。
さらに2023年にはコンパクト・クロスオーバーSUVとなる「エクスフォース」をデビューさせ、これもインドネシアだけではなく東南アジア各国で大ヒットしている。こちらは韓国ヒョンデの「クレタ」という新興国向けクロスオーバーSUVが堅調に売れているなか、三菱自動車がライバル車を送り込んだというようにも見える。
最近ではトライトンとパジェロ・スポーツというよりは、エクスパンダーシリーズとエクスフォースがインドネシアを含む三菱自動車の東南アジアにおける2枚看板になっているように見える。