
この記事をまとめると
■2025年7月24日から8月3日にガイキンド・インドネシア国際オートショー2025が開催された
■モーターショーなどでインパクトのある展示を行うのが中国メーカーの特徴のひとつだ
■展示を見ると中国メーカーのなかでも技術志向のブランドとそうではないブランドがわかる
中国メーカーの展示には驚かされる
2025年7月24日から8月3日の会期で開催された「GIIAS2025(ガイキンド・インドネシア国際オートショー2025)」会場内、中国上海汽車系のウーリン(上海通用五菱汽車)ブースへ行くと、水槽のようなものが置いてあった。近づいて水槽のなかを覗きこむと、水槽にはBEV(バッテリー電気自動車)の駆動用電池が水没していた。以前にも駆動用電池を水没させた展示はあったのだが、今度はその池のなかを金魚が泳いでいた。
ただ電池を水没させているだけではなく、その水没した電池を電源として水槽の近くにある大画面ディスプレイに映像を映し出していたのである。つまり、水没しても電池として使うことができるだけではなく、金魚が同じ水槽内で元気に泳いでいることを見せ、電気や有害物質が漏れだしていることもありませんとアピールしているようであった。
東南アジアに位置し、赤道からもそう遠くないところに位置するのがインドネシア。雨季があり、それ以外でも激しいスコールが発生することもある、いくつもの南の島々から構成される国家である。ということは、当然激しい雨が降ることも多く、都市部であっても道路冠水は珍しくない。となれば、前述したように水槽に電池を水没させるといったディスプレイは、インドネシアのひとには「なるほど」と納得させられるディスプレイでもあるといえよう。
昔、日本でも深夜によく放送されていたアメリカのテレビショッピングでの実演販売のごとく、思い切った展示を行うのが「中国メーカーあるある」のひとつ。
東南アジアの自動車ショーは、会場で実際に新車を販売することに重きを置くトレードショーがほとんどなのだが、中国メーカーはそこをいまひとつ理解できていないのか、多くのブランドでは、BEVのプラットフォームやエンジンのカットモデルなど、技術展示が多いのも「あるある」となっている。
その昔、「中国車=コピー車」というイメージがまだまだ強かったころは、最終的な完成車ではなく、モックアップ(原寸大の模型のようなもの)に近いもの、つまりエンジンなどがダミー状態のものも多く(BEVといってもボンネットを開けたらガソリンエンジンが積んであったということもあった)、会場でボンネットを開けようとすると係員がすっ飛んできて止められることも珍しくなかった。そのころに比べれば、展示車のボンネットを開けても文句をいわれることがなくなったし、技術展示も行っているから中国メーカー自ら、自社の技術に自信をもつようになったのかとも考えている。
ただ、すべての中国系ブランドが同じような流れとなっているわけではなく、多くは完成車の展示のみとなっているので、その辺りをみると、中国メーカーのなかでも技術志向のブランドとそうではないブランド(メカニズム開発は外注メイン?)との仕わけができるものと筆者は考えている。