
この記事をまとめると
■BYDが日本導入予定の軽規格BEVは2仕様で価格は日産サクラ並みと予想される
■軽自動車ビジネスは薄利多売のリスクもあるが中国BEV参入が加速する可能性も秘める
■これからの中国メーカーに求められるのはクルマ自体の出来はもとより販売戦略もだろう
日本車を脅かすBYDの軽自動車進出
先日、中国BYDオート(比亜迪汽車)系ディーラーへ出かけたときのこと。やはり気になるのでセールスマンに、すでに2026年末までに導入予定として国内導入が発表されている軽自動車規格BEV(バッテリー電気自動車)について聞いた。
すると、すでに現場のセールスマンも現車を見ているような口ぶりで語ってくれた。「ホンダN-BOXのようなスタイルになります。弊社のコンパクトBEVとなるドルフィンのように航続距離200kmほどの標準レンジと、300kmぐらいとなるロングレンジの2タイプが用意されるようです。価格はおそらく標準レンジで日産サクラ並みかやや下まわるのではないかとも聞いております」と話してくれた。
N-VANのような商用車版も用意されるとの話もあり、郵便局のクルマなどでおなじみの三菱ミニキャブEVのようなキャブオーバースタイルの軽規格BEVバンも用意されるとの情報もあれば、軽トラックタイプBEVまで用意されるのではとの報道もあり、BYDの軽自動車規格BEVは発表から数カ月が経過しているものの、いまだに話題が盛り上がっている。
ただし、軽自動車販売は「諸刃の剣」ともいわれている。ブランド全体の販売台数の上積みなどではメリットも出てくるが、常時一定数以上の量産及び量販(稼働台数維持)による薄利多売を続けなければならないので、すべてをメーカーやメーカー系ディーラーで抱え込むと、体力をいたずらに消耗してしまうことになるともいわれている。
メーカー本体ではなく関連会社への生産委託や、正規ディーラー販売メインではなく業販比率を高めるなど、体力を消耗しないで量販を進める流れを作るのが軽自動車ビジネスでは求められるとされているので、まずはBYDがどのような軽自動車ビジネスを展開するのか楽しみなところである。
2025年7月24日から8月3日の会期でインドネシアの首都ジャカルタ近郊で開催されたGIIAS2025(ガイキンド・インドネシア国際オートショー2025)会場にて、BYDはドルフィンの弟といってもいいコンパクトBEV「シーガル」を「ATTO1」として東南アジアデビューさせた。
標準航続距離仕様で1億9500万ルピア(約177万円)という価格にまず驚かされた。一般公開日初日だけで、会場においてのATTO1の受注台数は166台となった。会場近くのBYDディーラーへ行くと女性来店客がとくに注目しており、まさに飛ぶように売れていた。手ごろなサイズに手ごろな価格、しかも内外装の質感も見劣りするものではないので、日本でも軽自動車よりは……、と考えたのだが全幅が1720mmあり、その考えは消えた。