
この記事をまとめると
■2025年4月にフォレスターが6代目の新型にフルモデルチェンジを敢行
■機能よりも見た目の進化を優先している
■新規ユーザーがデザインに惹かれて買うケースが増えた
新型フォレスターのデザインを深掘り
4月17日に日本仕様が発表された新型フォレスターの販売が好調です。その理由のひとつとして「デザインがいい」という声が多く寄せられているとか。では、スバル自ら「デザインを優先した」というスタイリングとは一体どのように生まれたのか? 今回はデザイン全般を担当した高木さんにお話を聞いてみました。
●ひと目で新型だとわかるデザインを目指して
──まず、デザインコンセプトである「Ready for Adventure」にはどういった意図があるのかを教えてください
「新型に乗ることでいつもより遠くまで走りたい、新しい趣味をもちたいというワクワク感ですね。スタイリングとして目指したのは『頑丈で堂々とした存在感をクリーンなデザインで表現する』ことですが、北米市場などを含めて大型SUVを徹底的に研究し、サイズは小さくても存在感をもたせるにはどうすればいいかを考えました。一方で、従来のスバル車は男性的でアグレッシブなスタイリングでしたが、新型はシーンを選ばずに使えるようシンプルかつクリーンなカタマリ感でまとめようと……」
──新型の開発は「デザインを優先した」とされますが、具体的にはどのような手法をとったのでしょうか?
「これまでスバル車は性能やコストが優先されることも多かったといえます。そこで、今回はひと目で”新型だ”とわかるデザインを目指しました。ただ、スバルのユーザーは単にカッコいいだけのクルマを求めていませんので、性能など守るべきものは守った上でのチャレンジということです。たとえばフェンダーのデザイン代(しろ)をもらったり、ランプ類のパーツを増やすなど、デザイナーは自分たちの意向を汲んでもらうことで気もちが変わるんですね。まあ、他社さんでは普通のことかもしれませんが(笑)」
──フロントでは、これまでスバルのテーマだった「コの字」のランプとヘキサゴングリルの組み合わせをやめましたね
「ランプとグリルを別々に配置すると顔の作りが古く見えてしまうし、表現として細かすぎるんですね。新型は堂々とした表現を目指していますから、細かい要素にこだわらず顔を大きく見せたかった。ただ、よく見ていただくとランプは横に長いコの字となっているし、グリルも外形を結ぶと六角形になっていて、いきなりすべてをやめたワケじゃないんです!」
──ランプとグリルを一体として見せる手法は、最近のトレンドに乗ったとも言えるのでしょうか?
「いえ、トレンドということであれば、ポジションランプとヘッドライトの間にボディ色を入れる手法の方が主流で、完全に一体化させた例は意外に少ないんです。それによりヘッドライトらしいカタマリ感を残して顔の厚みを出すことができるんですね。ただ、単に一体化しただけでは、最近のEVのようにスッキリし過ぎて物足りなさを感じてしまう。そこで、フロントの上下ランプやテールランプのガーニッシュとの合わせ目を意図的にズラしたり、リヤピラーに微妙な角度を付けるなど、何となく目に止まるような工夫を施しているんです」
──グリル内は先代までと比べて太いバー(桟)で構成されていて、細かいドット状のパーツやメッシュなどは使いませんでしたね
「メッシュなどは繊細で華奢に見えたり、あるいはスポーティなイメージが強くなってしまい、大きな面が感じられないんですね。今回は堂々と見せるため枠をしっかり見せ、パーツの断面に変化を付けることでハイライトが外に向かうように調整しています。これによってワイド感がグッと強まるんですよ」