
この記事をまとめると
■EVキャリイを農業従事者の一般ユーザーに貸し出して使い勝手を調べる
■V2Hシステムと太陽光発電を組み合わせて「動く蓄電池」の可能性も検証する
■EVキャリイを「動く蓄電池」にするには長寿命で耐久性の高いバッテリーが必要だ
スズキ・キャリイをEV化して新たな可能性を探る
世界各地でシェアを拡大し続けているBEV(Battery Electric Vehicle/バッテリー式電気自動車)。もっとも普及しているのは乗用車だが、近年はラストワンマイル配送向けの小型トラックにもラインアップが広がってきた。さらに、高速道路のサービスエリアや街なかのコンビニに充電ステーションが設置されるようになり、電欠への不安が和らいだことも普及を後押ししている。
軽乗用車にもBEVはあるが、その数は必ずしも多くはない。そうしたなか、軽トラックのスズキ・キャリイにBEVが誕生した。もっとも、「市販用の新車」が発売されたわけではない。現行のガソリンエンジンで走るキャリイをBEVに改造し、その車両を農業従事者の一般ユーザーに貸し出して実証実験を行おうというのである。
スズキ・キャリイは1961年に登場したロングセラーの軽トラックだ。パワフルで小まわりが利き、経済性や耐久性にも優れていることから多くの愛好者に支持されている。現行モデルは2013年に登場した11代目で、他メーカーへのOEM供給も行っているため、実質的なシェアはかなり高いといえる。
このように、長年にわたり高い信頼性を維持してきたキャリイをBEVに改造して農業従事者に貸与するのは、ふたつの目的がある。ひとつは農業現場でのBEVキャリイの使い勝手の検証と、もうひとつがV2Hシステムを通じた太陽光発電エネルギーの有効活用の検証だ。