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ホンダの「四輪開発本部」では1回150万円以上かかる衝突テストやまるでゲームのようなシミュレーションが毎昼夜おこなわれていた! 東京ドーム46個分の広さを誇る謎に包まれた研究施設に潜入 (1/2ページ)

ホンダの「四輪開発本部」では1回150万円以上かかる衝突テストやまるでゲームのようなシミュレーションが毎昼夜おこなわれていた! 東京ドーム46個分の広さを誇る謎に包まれた研究施設に潜入

この記事をまとめると

■栃木にあるホンダの四輪開発本部施設を見学した

■施設内には衝突実験施設やシミュレーターやテストコースなどさまざまな施設が存在する

■この施設で車両を研究・開発するホンダがどんな商品を世に送り出すのかにも注目したい

ときに数億円のダミー人形を乗せて年間600回の衝突実験

 日本の一般的な消費者にとって、クルマは購入したその瞬間から使用することができる完成品として提供されるのが普通だ。したがって、どのような過程を経てクルマという商品になるかについてを、あまり深く考えることはないかもしれない。設計・開発が行われ、プロトタイプで各種テストを実施し、テストを通過したものが正規の商品として工場で組み立てられて出荷されるわけだが、なかでも各種テストは、その結果に企業秘密が含まれていることも多く、また積極的に一般に公開されることも少ないので、どのような場所でどのように行われているかは、一般人にとってはいわばちょっとした謎と言ってもいいかも知れない。

 そんな謎の一端を垣間見ることができた。ホンダが、メディア向けに四輪開発本部(栃木)施設の見学会を行ったのだ。

 さて、まず最初に披露されたのが「全方位衝突実験施設」だった。ここでは、その名の通りクルマの衝突実験が行われる。東京ドームほどの広さを誇るこの施設には、15度刻みで120mのコースが8本用意され、0度の正面衝突から90度の側面衝突まで、さまざまな角度で車両同士を衝突させることが可能だ。高速度カメラやセンサーなどにより衝突時の損壊具合は分析され、必要とあらば車両に改修が施され、ホンダの製品として販売することができるよう、日々テストを繰り返すというわけだ。

 この日は我々のために実際にテストの様子を公開してくれた。テストは速度50km/h同士での50%ラップのオフセット衝突で、2024年からJNCAPで新採用された衝突モードだという。20秒前からカウントダウンがはじまり、施設の両側から車両が走り出すと中央部分で轟音とともに衝突。テストであることを十分に承知していても、その迫力にはただただ圧倒されるばかりだ。

 ちなみにこの施設では四輪・二輪を含め、1日2〜3台、年間で600回ほどのテストが行われているという。そして四輪の場合、だいたい1モデルで合計10〜20回の衝突テストが行われるという。つまり、1台が商品として世に出るまでに(実際には商品として発売された後にも次世代モデルに活かすために衝突テストは行われることがある)、少なくとも10〜20台のプロトタイプが廃車となっているというわけだ。

 しかも、衝突テストを1回行うのに、少なくとも150万円(車両代別)ほどの費用がかかるらしい。さらにさらに、衝突テスト時にはときに前席に運転手に見立てた時価3億円相当のダミー人形のパパと助手席のママを乗せ、そして後席には1体1400万円の子ども型ダミー人形を乗せて……。

 それを仮に20回やれば……、もはやその合計金額がいくらになるのか、ちょっと気が遠くなりそうなレベルだ。

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