
この記事をまとめると
■物流倉庫は荷物の保管に加え仕わけや梱包など多様な作業を担う
■料金はスペースや荷役内容で決まり弁済義務も考慮される
■現場では単純作業にとどまらず提案や対応力が重要な役割を果たす
ただ荷物を預かっているだけではない
港や埠頭が物流の拠点だとしたら、物流倉庫は重要な中継地点ということになります。一般の人が物流倉庫に出入りする機会は少ないですが、企業や個人が所有する商品や物品を一時的に保管し、必要に応じて出荷・発送するための拠点としての役目を持つ物流倉庫は、意外と身近な施設でもあるのです。今回はよく耳にする施設だけれど、その実態がよくわからない物流倉庫について説明していきましょう。
今回お話をうかがったのは、川崎市で56年の歴史をもつロジ・テック トーシンという物流倉庫。物流倉庫というカテゴリーで考えると小さな部類に入る会社ですが、そのぶん、小さな依頼から柔軟に対応してくれる倉庫ということで、企業だけでなくいろいろな人も利用しているのが特徴のひとつといえます。
倉庫という名前のとおり、基本的にはお客さんから預かった荷物を保管、管理するのがメインの業務内容です。とはいえ、ただ荷物を預かっているだけではなく物流倉庫ならではの作業も多くあります。
たとえば、預かっている品物には流動性が高いものとそうでないものがありますが、それらを効率よく仕わけておくのも物流倉庫の仕事です。物流倉庫である以上、経営を考えると基本的には荷物を動かしてほしいもの。しかし、お客さんの都合によっては半年や1年ぐらいは商品として出荷をしないというパターンもあるため、動かすタイミングが遅いものに関しては、倉庫の奥へ入れたり、その逆で近いうちに搬出する荷物はできるだけ手前に置くなどの処理が取られます。
この作業はコンピュータを使ったロケーションシステムに頼る倉庫も増えてきていますが、それは大規模な物流センターや倉庫での話。やはり小さな物流倉庫では、担当者が荷物の出荷タイミングや場所を管理しているケースが多いそうです。
さらに、運び込まれる荷物によっては、まとまった梱包ではなくバラバラで来ることもあります。この場合はラップで荷物をまとめたり、時にはひとつひとつパレットに乗せたり、商品別にラベルを貼ったりするのも仕事なのです。
こうした物流の流れを人間の身体でたとえると、大動脈(港湾倉庫)→動脈(物流センター)→毛細血管(物流倉庫)となります。そして、それぞれにとても重要な役割があり、すべてがしっかりと稼働してこそ人間が生きていられるように、物流もまた成り立っているのです。
また、最近では荷物を預かるという業務のほかに「スペース貸し」というサービスを行っている物流倉庫も増えてきています。これは、倉庫内の場所だけを借りて、その場で作業したり管理するというもので、いわば物流倉庫内にあるレンタルスペースという感じです。似たような形態にトランクルームというものがありますが、こちらは荷物を保管するスペースを提供してくれるだけで、作業スペースはないため、何かを組み立てたりするようなケースでは物流倉庫のスペース貸しのほうが利便性は高いでしょう。