
この記事をまとめると
■韓国発の世界7位タイヤメーカー「ハンコック」が日本で初めて試乗会を行った
■トヨタやホンダも採用する最新モデルをクローズドコースで徹底試乗
■EV専用からジムニー向けまで意外すぎる実力とコスパを体感した
世界第7位のタイヤメーカーの実力とは?
Hankook(ハンコック)タイヤは、その名が示すとおり韓国のタイヤメーカーだ。すでに国内でも多くの製品が流通し装着されており、クルマ好きなら知らない人はいないだろう。とくにモータースポーツシーンでの活躍は目を見張るものがある。電気自動車レースの最高峰であるFIAフォーミュラEや、トヨタやヒョンデが凌ぎを削るWRC(世界ラリー選手権)では、ハンコックタイヤがオフィシャルサプライヤーを務めている。また、2025年シーズンからはランボルギーニのワンメイクレース「スーパートロフェオシリーズ」にも独占供給をしている。
韓国を拠点に、中国、欧州(ハンガリー)、インドネシアに生産工場を展開し、年産1億本の生産能力を誇る。タイヤメーカーとしては世界7位にランクされている。
そのハンコックタイヤが大阪に「ハンコックジャパン」を設立し、いよいよ本格的に国内での販売を強化していくという。すでにトヨタやホンダなど主要な自動車メーカーにはOEM供給しているが、リプレイスタイヤ市場での存在感を一層高めようとしている。
今回、その先陣を切って投入される4ブランド中3製品を、クローズドコースで試乗することができた。
まずは「iON(アイオーエヌ)AS SUV」だ。EVやPHEV専用タイヤとして開発されたロングマイレージタイヤで、2024年から上市されている。試乗車は韓国・ヒョンデのアイオニック5だった。2トン前後の重い電動車では、航続距離を伸ばすために徹底した転がり抵抗の低減と静粛性、さらに低コスト化が求められる。一方で、ウエット性能とロングライフ性能も重視される。
こうした要求を、独自のコンパウンド技術とトレッドパターン、ブロック断面形状の最適化によるトレッド面圧の均一化などで実現している。
実際に走り出すと、まず転がり始めの抵抗の少なさに気づく。タイヤケーシングの変形が少なく、電動モーターのトルクピックアップが遅れなく路面に伝わっている。確かに電費によさそうだ。さらに全開加速でもタイヤの空転はなく、荷重に対してグリップ力が高いこともわかった。ハンドリング路ではスラロームをスムースにこなし、挙動が破綻することもない。
ただし、ウエットでの急制動では初期グリップの立ち上がりが弱く、制動距離はやや伸びる傾向があった。また、段差通過時には、タイヤ内部に振動が伝わり共振しているようだった。
しかし、一般的には許容範囲であり、価格次第では魅力的な製品といえるだろう。