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「安いから」じゃなく「総合的にお買い得」なのだ! たとえ関税15%でも北米で日本車は売れ続ける!! (1/3ページ)

「安いから」じゃなく「総合的にお買い得」なのだ! たとえ関税15%でも北米で日本車は売れ続ける!!

この記事をまとめると

■日本車は燃費性能や品質、再販価値の高さから米国市場で人気を確立してきた

■アメリカ車はSUVやピックアップを中心に残存するが実用セダンは日韓独に任せた

■関税15%でもローン・リース事情を背景に日本車の需要は揺らぎにくいと見られる

日本車はアメリカの市場に大きな影響を与えた

 アメリカが第2次トランプ政権となり、トランプ大統領の関税政策がまさに世界を揺るがせている。日本に対しては自動車関税がやり玉に挙げられ、一時日本から輸出された自動車には25%の関税がかけられアメリカ国内に輸入し販売されていたのだが、2025年9月に15%になることで合意となった(2025年9月16日午後1時1分[日本時間]より15%に引き下げられた)。

 かつて1980年代から90年代には日米貿易摩擦とも呼ばれる、日本とアメリカの間での貿易不均衡状態が問題となった(アメリカのいい分)。当時1980年代中盤から後半にかけ、日本はバブル景気に沸き、史上もっちも日本が栄えた時期などとも呼ばれた。バブル景気突入直前の1980年代前半より、良質で安価な日本製家電製品や自動車が日本で製造、そして輸出され世界を席巻した。

 とくにアメリカでは、相次いだ中東戦争などにより世界的に原油価格が高騰し、ガソリン価格が高騰(それでも水より安かった)し、それまでの7リッターV8など「トラック用?」ともいうような大排気量で燃費性能をほとんど意識していなかったエンジンを搭載した大きいアメリカ車から、小排気量高い燃費性能をほこるエンジンを搭載し(おまけにクリーン)、ガソリン代をセーブできるとして日本車がアメリカ西海岸を中心に爆発的に売れ出した。

 自動車をはじめとして日本からの優秀な工業製品がアメリカを席巻すると、アメリカ系同業他社では工場閉鎖などによる工場作業員の大量失業や企業倒産が相次ぎ、とくに長年世界的に自動車産業をけん引してきた、当時アメリカ・ビッグ3(GM[ゼネラルモーターズ]、フォード、クライスラー)とも呼ばれたアメリカ系自動車メーカーの衰退は社会問題にもなり、失業したビッグ3の工場作業員などが日本車をハンマーで破壊するという抗議活動の映像が世界を駆け巡り衝撃を与えた。

 政治問題へと発展してしまった貿易摩擦解消もあり、当時日本から対米輸出する自動車の輸出台数を自主規制し、台数を抑制する措置もとられた。ガソリンが水より安く、「出力アップ=排気量アップ」という概念がアメリカ車では長きにわたって引き継がれてきたともいわれている。

 貿易摩擦当時、アメリカ・ビッグ3もただ傍観して、それまでどおり巨大な乗用車を作り続けたわけでもない。古巣フォードからクライスラーへアイアコッカ氏が1979年に会長として就任していたアイアコッカ会長はすぐに、「対日本車プラットフォーム」ともいっていい「Kプラットフォーム」を開発させ、これを採用したミニバンを発表し、アメリカ国内で大ヒットさせ、低迷クライスラーを再生に導いている。

 フォードは1983年に、フルサイズセダンとなる「LTD(セダン/ステーションワゴン)」の4代目をリリースしたのだが、ボディサイズの大幅ダウンサイズを行い、さらにV8(4.9リッター)やV6(3.8リッター)エンジンのほかに3.3リッター直6、そして2.3リッター直4エンジンまで用意したのだが、このダウンサイズモデルは不人気となり販売苦戦したとのことである。

 確かにコンパクトで燃費のいい日本車は人気となったものの、この時点ではセカンドやサードカーとしてのニーズがメインで、ファーストカーは「これぞアメリカ車」といった大型モデルが依然として好まれる状況にあったようだ。日本での軽自動車のような存在は日本車に任せておけ、そんな風潮が残っていたのかもしれない。

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