
個性派ドライバーが集う注目チーム
大阪トヨペットグループ(OTG)を母体とするLM corsaは、GRスープラ GTを投入した2021年に富士で2勝を挙げ、いきなりランキング3位を獲得するなど躍動した。しかし以降は成績が低迷。独自でフロントマスクを改良するなど策を打ったが、タイヤとのマッチングに苦しみ、もがき続けた。
今季は車両をスープラからレクサス・LC500にスイッチ。依然として苦しい戦いが続いていたが、鈴鹿サーキットでの第5戦では、ロングホイールベースで大きなダウンフォースを生み出すLC500の車両特性と、コンディションにマッチしたダンロップタイヤが見事に噛み合い、復活の2番手フィニッシュを果たした。しかし、このときは最低重量違反により失格の裁定が下り、リザルトは幻に終わってしまったものの、続く第6戦では見事にチャンピオンに返り咲いた。今後活躍に注目したい強豪の一角と言えよう。
チームを発足初期から支える吉本大樹、そして河野駿佑のコンビは6年目。若手の伊東黎明が第3ドライバーに名を連ねる。
吉本は、レーシングドライバー「吉本大樹(よしもとひろき)」と、ミュージシャン「吉本大樹(よしもとだいき)」のふたつの顔を持つ。昨年末のSUPER GT最終戦では、自身がボーカルを務めるバンド「doa」最後のツアーに参加するため、鈴鹿で練習走行を走った後、名古屋のライブ会場に向かうというチャレンジングな1日も経験した。なおdoa解散後も、メンバーだった大田紳一郎氏とユニットを結成し音楽活動は継続している。
また、吉本が大のニンニク好きであることは、知る人ぞ知る情報。聞くところによれば、自家栽培も視野に入っているとか?
相方の河野も、じつは“ふたつの顔”の持ち主。サーキットではドライバー、そしてエンジニアとして活躍している。彼は父の河野高男エンジニアが代表を務めるRSファインでの下積みの期間を経て、今ではスーパー耐久やスーパーフォーミュラ・ライツでメインのトラックエンジニアを任されている。
伊東はOTGのスカラシップでFIA F4にデビューし、GT300まで上り詰めたという、いわば生え抜き的存在。今季はスーパーフォーミュラ・ライツにも参戦して奮闘中だ。OTGに加入した時期が同じだという河野は「黎明とは長いこと一緒にいますが、最近は垢抜けてきたのか髪がチャラくなりましたね(笑)」と語る。
チームは大阪拠点だけあって、浪速のカラーが濃い。「関西色がないのは僕と監督(飯田章氏)くらい」と言う河野は、今回の取材にあたっても「面白いことを言わないとチームに怒られちゃう」と苦笑していたが、チームスタッフから「お前と黎明の共通点を言うと、おもしろないっちゅうことや」と早速重たい一撃を食らっていた。
ちなみにOTGで一番面白いのは、86/BRZレースでチームに所属する小河諒とのこと。彼は関西人ではないが、頭の回転が速く「センス系」の面白さが光るらしい。