
2025年は大暴れ! 参戦2年目の注目チーム
D’station Racingは、アミューズメント施設の「D’station」などを展開するNEXUSグループを母体とするチームだ。近年はWEC(世界耐久選手権)など海外レースを主体に活動していたが、昨年4年ぶりにGT300にカムバックした。
使用している車両は、アストンマーティンの新型ヴァンテージGT3 EVO。彼らは復帰初年度から非常に高い戦闘力を発揮しており、昨年は1勝を記録してランキング4位。今年も藤井誠暢とチャーリー・ファグのコンビを継続して戦っているが、第2戦富士で2位、第4戦富士スプリントで2連勝を記録してポイントを荒稼ぎし、終盤戦に向けてタイトルも射程圏に捉えている。
D’station Racingは、ほかのスポーツ界の重鎮が首脳陣に名を連ねるという点で、GT300のなかでも異彩を放っている。
総監督を務めるのは、日本のプロ野球やメジャーリーグで抑え投手として活躍した“大魔神”こと佐々木主浩氏。球界で培った度胸と勝負師のマインドで、レースでの戦略判断に貢献したこともある。
そして星野 敏オーナーは元フェンシング協会会長で、自身も大学の全日本選手権を制したこともある元“剣士”。NEXUSにはフェンシングの選手が多く在籍しており、所属選手が五輪でメダルを獲得すると高額の報奨金(金メダルの選手は1億円!)を贈るなど、業界発展にも貢献している。
そんなD’stationのレース運営を支えるのが、ドライバーでありチームのマネージングディレクターでもある藤井。彼はシミュレータを活用した会員制ドライビングラボを手掛けたりと、ビジネスマンとしても活躍するマルチプレイヤー。仕事に没頭する日々であるため、SUPER GTの週末は逆に「リラックスタイム」だという。もちろんレースには真剣に取り組んでいるが、レースに集中する瞬間は他の仕事のことを忘れられるからだ。
その藤井の相方を務めるのが、イギリス人ドライバーのファグ。ここ数年でGTの世界で頭角を現し始めた若手ドライバーで、SUPER GTでは早速、歴戦の猛者たちに負けず劣らずの速さを見せている。将来の目標はGT500へのステップアップだ。
非常に落ち着いた紳士的な雰囲気の漂うファグだが、星野オーナーは「すごく真面目なんだけど、クルマに乗るとアグレッシブですね」と評する。実際、ファグはバトル中、一歩も引かない強気さを見せ、チームの勝利に貢献している。