
この記事をまとめると
■スズキの2代目スイフトは世界戦略車として企画された
■2代目のスイフトはカタマリ感が特徴だ
■2005年にグッドデザインを受賞している
歴代スイフトのベストデザインはこれだ!
長寿モデルをはじめ、何代かに渡って販売されるモデルはそれぞれの時代を反映させたコンセプトが盛り込まれており、もちろんそれはスタイリングにもいえること。そこで、そんな各歴代のなかからあえてベストデザインを選んでみるのがこの企画です。何しろ個人的な意見ゆえ、苦情反論は受け付けませんので悪しからず(笑)。
●ダイナミックかつ安定感のあるスタイル
本シリーズ8回目となる今回取り上げるのは、スズキのスイフトです。ワゴンRなどに比べるとずいぶん新しいモデルに思えますが、それでも初代の登場から25年、現行で5代目となる長寿モデルです。で、今回ベストデザインとしたのは、ズバリ2代目(ZC型)です(スズキではこのZC型を初代としているが、ここではHT型を初代として扱う)。
軽の拡副版だった初代に対し、世界戦略車として企画された2代目は、まず2002年のパリモーターショーに「CONCEPT-S」として出品。「小さなクルマで存在感の強いスタイリングを備え、走って楽しく、愛着がもてる」ことを提示、さらに2003年東京モーターショーでの「CONCEPT-S2」を経て、2004に発売となりました。
この2代目のデザインコンセプト(エクステリア)は「Dynamic & Stable」。Dynamicはそう珍しくありませんが、Stable=安定をコンセプトに掲げるのはありそうでないところ。実際、登録車専用のプラットフォームを得た2代目は、全長わずか3695mmのボディとしては例外的なスタンスのよさを発揮しています。
また、「欧州の風景にも力負けしない」ことを目指したボディは極めて強いカタマリ感をもったもの。ヘッドライトからテールランプへつながる明瞭なショルダーラインを筆頭に、ボディパネルの面の張りはやはりサイズを感じさせない強さを誇っています。また、ギュッと引き締まった小型のヘッドライトがボディの凝縮感を高めているのも秀逸なところです。
●クラスを越えた力強さはイタリア仕込み?
さらに、全体のカタマリ感に寄与しているのがシャープなキャビンです。Aピラーをブラックアウトすることで広くラウンドしたフロントガラスを演出する一方、いわゆるカンチレバータイプのクォーターピラーがリヤを引き締めており、そのバランスが絶妙なのです。
一方、インテリアはコンパクトな室内を広く見せる翼形のシンプルなインパネが印象的。広い面をフラットにすることでノイズを減らし、広がりとともに上質感も併せもちます。ボディカラーは「スポーツ」のチャンピオンイエローのイメージが強いですが、シンプルなボディは淡いブルーやブラウンなどもよく似合いました。
次世代コンパクトカーの実現を踏まえ、担当デザイナーがイタリアのトリノに滞在してまとめ上げたスタイルは、2005年のグッドデザインを受賞。「このクラスにはない力強いデザイン、塊感や安定感」という評価は、当初のコンセプトが見事に反映されている証でしょう。
さて、成功した2代目を「ほぼ継承」した3代目は、ボディにより高い上質感を与えました。たしかに艶やかになった面はよく磨き込まれていますが、若干間延びしてしまった点を見ると、あらためて2代目の高い志に感心してしまうのです。