
この記事をまとめると
■ジャパンモビリティショー2025でマツダがコンパクトサイズのコンセプトカーを公開した
■クルマが知能をもった存在になるという今後を見据えた画期的な試みである
■内燃機関を搭載する可能性やSUVへの発展も視野に入れているという
若手開発者らしく未来のカーライフ見据えて創造した1台
10月29日、東京ビッグサイトでは3回目となる「ジャパンモビリティショー2025」が開幕。そのマツダブースで世界初公開されたコンセプトカーのMAZDA VISION X-COMPACT(マツダ ビジョン エックスコンパクト/以下Xコンパクト)は、一見すると近未来コンパクトSUVのデザインスタディという印象が強い。
とくに2年前の「アイコニックSP」を思い出させる鮮やかなレッドが目立っているだけに、少し現実味には欠けた提案かなというのが第一印象だった。
プレスリリースによれば、人がクルマを通じてどのように感じ、心を動かすのかを科学的に解明し、「快適な乗り心地」や「思ったとおりの走り」などを追求。人の感覚をデジタル化した「人体・感性モデル」と共感型AIの融合によって、人とクルマの絆がさらに深まる1台を目指したとのこと。近い将来に控える自動運転も見据えて「クルマが人の意を汲み、意のままに、その可能性を広げてくれる未来」を象徴しているらしい。
なおプレスカンファレンスでは、デザイン本部の若手メンバーである高橋快勢さんが登壇。「皆さんはひとりでクルマに乗っているときに、ちょっとつまらないなと感じたことはありませんか? このXコンパクトでは、クルマが自分にとって親友のような存在になれたらいいなと思って開発しました」とスピーチ。
従来の人とクルマの関係性をブレークスルーすることが、このXコンパクトにとって一番のポイントだとアピールしていたのが印象的だった。
ボディサイズは全長3825×全幅1795×全高1470mmで、ホイールベースは2515mmとなっている。ショーモデルということで全幅は5ナンバー枠を大きく超えているが、全長や全高、さらにホイールベースはマツダのボトムを支えるMAZDA2(旧名デミオ)と近しい存在であることを推測させる。
フロントグリルは下の方に極めて小さく設計され、もしかするとBEV なのかとも思わされたが、どうやら内燃機関の搭載も考慮されているらしい。
室内に目を向けると、インテリアはレッドとブラックの色使いが基本。さらにレッドに塗られたダッシュボード下段やドアパネルの一部は「鉄板むき出し」のようにも見える。一方でダッシュボードの上段やセンターコンソールはブラックのカーボン素材と見受けられる。メーター横にはスマートフォン置き場が設置されて、ナビゲーションアプリなどの視認性を高める工夫も感じさせてくれた。
一見すると現実味の薄いデザインスタディモデルのように思えたこのXコンパクト。しかし、未来のカーライフの姿の創造とその実現というふたつをすり合わせる姿勢が見受けられた。Xコンパクトが市販化されて、「快適で思いどおりの走り」ができる「親友のような存在」となる日はそう遠くないのかもしれない。
