
この記事をまとめると
■近年ヒョンデは「レトロフューチャリズム」と「Newtro」というテーマを掲げている
■過去に販売していた車種を再構築するヘリテージ・シリーズを展開している
■広告のためだけに歴代車を利用せず過去の意匠を実際に反映させている
歴代の名車を現代風に再解釈
少し前になりますが、ヒョンデは高級セダンであるグレンジャーの発売35周年を記念して、ワンオフのレトロ調EV「ヘリテージ・シリーズ・グレンジャー」を発表しました。いかにも80年代なスタイルは大きな話題になりましたが、このレトロデザインにはどんな意味があるのでしょうか? いまあらためて考えてみたいと思います。
●ヒョンデが進めるヘリテージ・シリーズ
ここ数年、ヒョンデは「レトロフューチャリズム」を掲げ、過去の自社製品を再構築するヘリテージ・シリーズを展開しています。グレンジャーと同じ2021年には、1975年に発売された初代ポニーを現代風に解釈した「ヘリテージ・シリーズ・PONY」を発表。基本デザインはそのままに、面やラインを整理したそのスタイルはじつに魅力的でした。
さらに2年後、ジョルジェット・ジウジアーロの手により1974年に発表された「ポニークーペ・コンセプト」の復元を発表。なんと息子のファブリツィオと立ち上げたデザイン会社である、GFG Styleが全面協力するという、なんとも贅沢なプロジェクトが話題となりました。
こうした希有な取り組みは、ヒョンデがいかにデザインに力を入れているかを示しています。たとえば、2012年にはアウディTTなどVWグループで多くの車種を手がけたペーター・シュライヤーを責任者として迎え、2023年にグローバルデザイン部を設けた現在でも、同じくVWグループで活躍したルク・ドンカーヴォルケがチーフクリエイティブオフィサーに就くなど、積極的にデザイン部署の改革に取り組んでいるのです。
最近のコナやインスターなど、魅力的かつ個性的なスタイリングはこうした体制により生み出されたもので、国籍にとらわれない人材の活用は欧米的であるともいえます。
