
この記事をまとめると
■BYDが日本専用設計の小型電気トラック「T35」を世界初公開した
■CTC構造や自動認知路面適応など最新技術を採用し安全性と快適性を両立
■仕事だけでなくアウトドアにも使える多用途EVとして2026年春に登場予定だ
BYDは商用車でもEV攻勢をかける
BYD Auto Japanの商用車部門が世界初公開したのは、小型電気トラック「T35(ティー サンゴー)」だ。アルミバンと平ボディタイプが用意されたこのモデルは、車両総重量を3.5tに抑え、普通免許でも運転可能。日本の法規・寸法に対応した専用設計のものだという。ここでもBYD独自のLFP(リン酸鉄リチウムイオン電池)ブレードバッテリーを採用し、高い安全性と安定した航続性能を両立している。
この「T35」は、1回の充電で1日の運用が可能な航続距離250kmを実現。小型なサイズは市街地や住宅街でも取りまわしやすく、ブレードバッテリーと堅牢なシャシーを接合したCTC(Cell to Chassis/セルトゥーシャシー)を採用したe-Platformにより、相対フレームねじり剛性が高まり、操縦安定性も大きく向上しているそうだ。
また、平地と登坂を自動で認知し、最適な走行をする自動認知路面適応システムを搭載。平地モードでは、無積載時に車両の出力を滑らかに制御し、急発進や空転を防止してエネルギー消費をコントロールする。登坂モードでは、満載時の登坂においてトルクを補正強化して最適な登坂性能を発揮。
そのほか、前方衝突警報(FCW)、アクティブクルーズコントロール(ACC)、車線逸脱警報(LDW)などの先進運転支援機能(ADAS)も標準装備している。
コクピットには、音声認識によるスマートアシスタント機能を備えた12.8インチのディスプレイが備え付けられ、乗用車感覚のステアリング、ベンチレーション付運転席、シートヒーター、A4ファイル収納可能センターコンソール、ワイヤレス充電器などを装備。乗用車のような快適空間を実現している。
さらに、ソフトウェアの更新・改善・機能追加を可能にするOTA(Over The Air)機能を搭載。常に最新システムへアップデートできる。加えてスマートフォンアプリによる遠隔エアコン起動、ドアロック操作、車両位置確認など、利便性の高いコネクテッド機能にも対応するという。
「T35」は、外部へ電力供給できるV2L機能(最大出力10kW)も搭載し、キャンプ場やイベント会場などでの電源としても活用可能。仕事のみならず、アウトドアやレジャーといった遊びのシーンでも使えそうだ。
実際、会場ではアルミバンモデルに加えて平ボディにV2L機能の活用例として車両のバッテリーで稼働するサウナストーブと、水温を常に快適な温度に冷却・維持する水風呂が置かれた移動型サウナモデルを展示。これらは「サウナー」が羨望のまなざしを向けること間違いない。
配送や営業などの商用用途に加え、趣味やレジャーなどのライフスタイルシーンにも幅広く活用できるEVトラック「T35」は、2026年春の発売を予定。価格は架装費込みで800万円前後で検討しているという。
