
この記事をまとめると
■埠頭や港湾エリアには大手コンビニカラーでありながら名前の違うコンビニが存在する
■「ポートストア」と呼ばれる店舗であり商品も店内も普通のコンビニと変わらない
■港湾福利厚生協会という団体が運営しているコンビニ界の隠れキャラのような存在だ
埠頭や港湾エリアに存在する謎のコンビニ
港湾エリアの探索をしている日、飲み物を買おうとしたらコンビニの看板が目についた。埠頭や港湾エリアは、場所によって自販機などが見当たらないことも多く、駐車場があるコンビニがあれば立ち寄っておくほうがいいのだ。埠頭内のガソリンスタンドを使う手もあるが、多くのトラックが出入りするため、敷地が広く端っこにクルマを停めて店内の自販機に行くのはまあまあ手間がかかる。
そして、立ち寄ったコンビニで飲み物を買い、駐車スペースからお店の方にある看板をよく見てみると違和感がある。たしかに色づかいは白と緑のファミリーマートだが文字が違う。ファミリーマートではなく「ポートストア(PORT STORE)」となっている。偽物だとしたら1文字も合っていない潔さ。現代社会でこんな紛らわしいことをしたら問題アリだが、じつは全然偽物ではない。
そもそもポートストアは港湾地区にある売店で、東京都もしくは横浜市から依頼を受け、売店の営業許可を得て出店しているお店なのだ。そして運営会社は「東京港湾福利厚生協会」と「横浜港湾福利厚生協会」という団体で、複数の大手コンビニエンスストアブランドと提携して展開されているというのが正体だった。
東京港湾福利厚生協会は昭和18年4月発足で、現在は東京港全域において給食、食堂、売店、サービスセンター、宿泊所、住宅、診療所、休憩所など50カ所の福利厚生施設を管理運営し、東京港の労働環境を支えている。一方で、横浜港湾福利厚生協会は昭和32年発足で、給食、住宅、貸会議室、売店、トレーニングルームなどを運営している。そのため、ポートストアは街なかではなく港湾エリアのみに存在するのだ。
ではなぜファミリーマートやローソンのカラーを残したまま店名だけ変えているのかというと、非営利の団体の運営であるため、特定の民間店舗の看板を付けないという配慮のためなのだ。とはいっても、通常の店舗と何か違いがあるのではと思い、あらためて店内を観察してみるものの、特別変わった部分もない。販売されているものも、店内のつくりもどこにでもあるコンビニだ。
筆者が最初に発見したのはファミリーマートバージョンのポートストアだったが、もうひとつローソンバージョンのポートストアも存在する。当然こちらも店内を観察してみたが、一般店舗との違いはなかった。
もし無理やり違いを挙げるとしたら、立地条件が埠頭や港湾内にあるということぐらいだろうか。実験的にふたつのポートストアで買い物をしてレシートをもらってみたが、どちらも印字されているのはファミリーマートとローソンのロゴで、その下に「ポートストア〇〇店」と書かれていた。
さらにリサーチしてみると、ファミリーマート、ローソンともに公式ホームページで「ポートストア」と入れて検索すると、各所の詳細が表示されることがわかった。まさにコンビニ界の隠れキャラのような存在、それがポートストアだ。
