
この記事をまとめると
■三菱ふそうは小型BEVトラックeキャンターを基軸に商用車の電動化を推し進めている
■ディーゼル車と同一ラインで生産する混流方式を実現
■バッテリー循環構想により脱炭素と資源活用の新たなモデルも築く
BEVとICEの混流生産体制を確立
乗用車のみならず、商用車の世界でも喫緊の課題となっているカーボンニュートラル。そこへ向かうためのひとつの解としてあるBEV=バッテリー電気自動車において、三菱ふそうは業界を牽引する存在といえる。
その象徴となるのが、世界初の量産小型BEVトラックである「eキャンター」だろう。小型トラック「キャンター」の派生モデルとして2017年に発売を開始した同モデルは、日本国内のみならず世界各国へ展開しながら着々と進化しており、2022年に発表された現行モデルで3世代目を数える。
大手運輸会社に一斉導入されるなど好調な動きを見せるeキャンターだが、とはいえ三菱ふそうが生産するトラック全体からすれば、占めるマスはごく一部だ。欧米乗用車メーカーなどを中心にBEV専用工場を新設するケースも見られるが、要するコストが莫大であることは想像に難くない。専用工場を設けない場合は必然的に既存のICE(内燃機関)車両との混流生産となるが、まったく異なるコンポーネントをもつBEVとICE車で生産設備を共有することには、それはそれで困難が付きまとう。
eキャンターの生産ボリュームがまだ変動しているため、生産量に柔軟性をもたせるべく三菱ふそうが採ったのは後者の手法であった。当初はeキャンターのみパワートレインを後組みするというフローでの生産だったが、現行第3世代モデルの発表時には同一ラインでの生産を掲げた。それが実現したということで、今回その生産の場となる川崎製作所を視察する機会を得た。
早速ラインを見ると、ディーゼルエンジンを搭載するキャンターとeキャンターが同一ラインを流れている。フレームにアクスルが組み付けられるタイミングでeキャンターではeアクスルが組み付けられ、キャンターがエンジン・ミッションを組み付けられるところで、eキャンターではあらかじめライン下のコンベアに用意されたバッテリーが組み付けられてゆく。
視察時にはeキャンターが2台ほどラインを流れていたが、eキャンターの作業タイミングでラインが遅くなったり止まったりということは一切見られなかった。EV関連装備の運搬機器の導入、エンジン関連部品のみEV関連部品に置き換えリソースを最適化したことにより、生産スピードを変えずに混流を可能としているのだという。eキャンターではディーゼル車よりも充填する冷却水が多いが、そういった点も設備投資とレイアウト変更でサイクルタイムに対応する。
また、この混流生産方式は、欧州での生産拠点であるMFTE(三菱ふそうトラックヨーロッパ)の工場でもすでに導入済みであり、グローバルで同一の生産体制を展開しているという点も興味深い。
