
この記事をまとめると
■マツダが「モバイル・カーボン・キャプチャー」を搭載したレースカーをS耐で走らせた
■排ガスをバイパスさせてゼオライトにCO2を吸着させることでCO2を回収する
■システムを搭載した55号車は見事に4時間を走破して目標の100gのCO2回収に成功
「走るほどにCO2を減らす」をレース現場でも挑戦
10月30日から11月9日まで開催されたジャパンモビリティショー2025(以下JMS)のマツダブースで、主役の座を務めたのがコンセプトカー「ビジョンクロスクーペ」だ。
このマシン、ロータリーエンジンを駆動用として搭載するとアナウンスされたことで注目を集めたが、もうひとつ大事な先進技術の提案がなされていた。それが独自のCO2回収装置のマツダ・モバイル・カーボン・キャプチャー。このシステムを実用化できれば「走るほどにCO2を減らす」モビリティが未来に出現。市販目標には2035年を掲げている。
その最先端技術を、マツダは2021年から参戦しているスーパー耐久シリーズ(S耐)のマシンに搭載するという英断をした。舞台は11月15~16日に静岡県の富士スピードウェイで開催された「ENEOS スーパー耐久シリーズ 2025 Empowered by BRIDGESTONE 第7戦 S耐FINAL大感謝祭」。
マツダは現在、このST-Qクラスに2台体制で参戦しているが、選ばれたのは55号車のマツダスピリットレーシング3 フューチャーコンセプトのほう。マツダ3という市販車をベースに、パワーユニットは2.2リッター直4ディーゼルエンジン+ターボチャージャーという仕様。欧州ではすでに実用化されているカーボンニュートラルなHVO(バイオディーゼル燃料)を使用している。
4時間の決勝レースを控えた11月16日の朝9時からは、メディア向けにラウンドテーブルを開催。マツダの取締役専務執行役員兼CSO(最高戦略責任者)の小島岳二氏は、「カーボンニュートラルの実現に向けては世界各国の電力構成や規制、インフラの状況、そしてお客さまのニーズ、これらに応じた電動化や内燃機関の技術、カーボンニュートラル燃料……これらを柔軟に組み合わせて適材適所で最適なソリューションを提供していくことが必要です。そして今回、その内燃機関のさらなる進化形としてCO2回収技術という新たな挑戦が加わりました。これが実現すれば、走れば走るほど地球が綺麗になり、カーボンニュートラルを超えてカーボンネガティブになっていきます」と語った。
