
この記事をまとめると
■ヨコハマホットロッドカスタムショーで完成度の高い国産カスタム車が展示された
■明確なコンセプトと発想力で日本車とホットロッド文化を見事に融合していた
■軽自動車や旧車であっても成立する自由な表現こそ日本独自のモーターカルチャーだ
国産カスタムが放った強烈な存在感
日本のモーターカルチャーを一手に担うといっても過言ではない「ヨコハマホットロッドカスタムショー」が去る12月7日に開催され、来場者2万5000人オーバーという盛況を見せた。ホットロッドカスタムというタイトルのとおり、メインストリームはアメ車やビンテージバイクが幅を利かせるものの、なかには意外な国産車も散見できた。意外性だけでなく、いずれも完成度が高く、目の肥えた観客らも足を止めていたのだった。
スバルR-2 HASHIMOTO RACING
旧車セグメント、しかも軽自動車というR-2をホットロッドカスタムショーにマッチさせるのは、思うほど簡単ではないだろう。ボディカラーや全体のたたずまい、あるいはデモンストレーションの方法など、ハードルは決して低くないはずだ。
そこで、出品者(Stoop Motorcycle)は架空のレーシングチーム「HASHIMOTO RACING」で走る草レースマシンというコンセプトを打ち立てた。ボディは昭和の香り漂うイエローゴールド、リヤに積まれたエンジンは勇ましいレッドのカバーが使われ、吸排気系のチューンアップも一目でわかる。リヤクオーターウインドウはレーサーらしくふさがれて、アメリカナイズされたショーペイントでもって、アバルトそっちのけのマイクロレーサーに仕上がっている。
もちろん、インテリアのカスタムも抜かりなく、懐かしいハトメがついたスポーツシート、スポーティな香りのする2本スポークハンドルなど、草レースのテイストが存分に発揮されている。また、マフラーからダミーのスモークが出ている展示には思わず顔がほころんだもの。アイディア、コンセプト、そして仕上がりすべてに好感がもてる1台だ。
フェアレディZ チェリーボーイ殿下
240Zはご承知のとおりアメリカでも絶対的な存在感を誇るモデルであり、ホットロッドカスタム界隈での人気も高いもの。いわば、アメリカンカスタムが似合う日本車の定番といってもいいくらいだろう。
だが、そこに日本車カスタムの粋ともいえる「痛車テイスト」を加えるという作品はさほど多くない。純正色のグランプリマルーンにほど近いベースカラーにメタリックフレークを加えつつ、ボンネットと両サイドに入れ込まれたキャラ(2.5次元のリリサ)はペイント風に見えて、じつはカッティングシートという凝ったもの。
なおかつ、カーボンのオーバーフェンダー、テールスポイラー、そしてファットなタイヤ&ホイールといったホットロッドの常道カスタムというコントラストは新鮮だ。エンジンルームを覗くと、ここにもオーナーのこだわりが垣間見える。2.8リッターへのボアアップ、きれいなシェイブドベイもアメリカンカスタムの王道。アメリカから輸入した際は不動車だったと聞けば、一層オーナーの苦労と愛情が計れるというもの。クルマといい、痛車仕上げといい、年齢を問わず刺さる仕上がりに違いない。
