
この記事をまとめると
■F1は2023年以降年間24戦が定着し2026年も同規模で争われる
■開催数増加は人気拡大と商業的成功を背景にした必然的な流れだ
■一方でスタッフ負担や物流コスト増大が深刻な課題となっている
24戦という数字は現実的な上限
最終戦までドライバーズタイトル争いがもつれこんで終わった、2025年のF1。来シーズンはマシンに関するレギュレーションが大幅に変わって、全24戦で争われることが発表されている。2025年も年間24戦だったが、3月の開幕戦から12月第1週までに24レースというのは、さすがに多いように思える。
世界各国を転戦するF1は、1970年代から「F1サーカス」などと呼ばれていたが、当時は年間13~17戦だった。またマクラーレン・ホンダMP4/4が、セナとプロストのコンビで勝率93.75%を記録した1988年も年間16戦で、そのうちセナが8勝、プロストが7勝して、ふたりで16戦15勝とF1史上最高勝率をマークした。
そんなF1の開催回数が増えてきたのは、わりと最近で、2016年に年間21戦となり、2023年以降は史上最多、年間24戦のシーズンが続いている。近年、F1の年間レース数が増加している主な理由は、世界的なF1人気と商業的な需要の高さといっていいだろう。
F1はアメリカ本国をはじめ、中東各国などで人気が高まってきていて、開催を希望する新しい国や都市がどんどん増えてきているのが現状だ。
開催地が増えれば、開催権料も増えるのでF1運営会社(リバティ・メディア)としては喜ばしいし、放映権やスポンサーシップによる収益が増加するので、チームへの分配金も増える。もちろん、レース数が増えれば露出度も高まり、ファンも増えるし、満足度もアップ。さらにブランド認知度も向上するというわけで、レース数が増えたことのメリットはいまのところかなり大きい。
一方でチームスタッフの負担はけっこう問題になっている。およそ10カ月で24戦の過密スケジュールでは、母国や自宅に帰れる機会が少なくなり、プライベートにいろいろ支障が出ることも……。とくに現場を支えるメカニックやエンジニアといったメンバーは、移動や準備による肉体的・精神的な負担が限界ギリギリともいわれている。
もちろん、単純に機材輸送のコストや物流の調整の複雑さなども、開催数増加に比例して増えるデメリットとして挙げられる。何事も一得一失で、メリットもあればデメリットもあるものだが、世界を転戦するF1なので、さすがに現行の年間24戦が現実的な上限として妥当な線ではないだろうか。
