
この記事をまとめると
■996型ポルシェ911GT2は2001年のNAIASでワールドプレミア
■996方GT2はモータースポーツ由来ではなく純然たるロードカーとして開発された
■当時のポルシェ最強モデルとしてスーパーカーの頂点に君臨していた
当時の911ラインアップで最強を誇った究極ロードカー
2006年にロサンゼルス・オートショーがその開催時期をそれまでの1月前半から12月に変更するまで、毎年1年のモーターショーのスケジュールは、ロサンゼルスとデトロイトという、アメリカのふたつの都市で前後して始まるのが常だった。ちなみに後者は、1989年以降はNAIAS(北米国際自動車ショー)へと名称を改め、より国際色の強いモーターショーへと進化を遂げていくことになる。
21世紀最初のNAIAS、すなわち2001年のNAIASでもさまざまなニューモデルが発表されているが、そのなかにはもちろん刺激的なスーパースポーツの姿もあった。
ポルシェがこのNAIASをワールドプレミアの舞台として選んだのは、当時の996型911のラインアップに新たに設定されることになった最強モデルの「911GT2」。ちなみにこのときポルシェは、ほぼ同時期に開催されていたロサンゼルス・オートショーに、2000年のパリサロンに出品した「カレラGT」のコンセプトカーを出品しており、NAIASではもちろん両車の比較に多くの話題が集中した。
ポルシェにとって、GT2という称号を掲げる911をリリースするのはこのときが初めてではなかった。1993年には993型911ターボをベースに、3.6リッターの水平対向6気筒ターボエンジンを430馬力にまでチューニングするとともに(1998年にはさらに450馬力へと強化される)、駆動方式を911ターボの4WDからRWDへと変更。グラマラスなエクステリアのディテールを与えた、FIA GT選手権などのGT2クラスへの公認を得ることを目的とした、最初の911GT2を生み出しているのだ。
2001年に発表された996型911ベースの911GT2は、いわばセカンドジェネレーションといえるものなのだが、初代モデルとの大きな違いは、モータースポーツとの関連性を一切もっていなかったという点にある。それは最初からロードカーとして企画されたモデルにほかならなかったのだ。
だからといってこの996型911GT2のパフォーマンスが魅力的ではないわけはない。リヤに搭載される3.6リッターの水平対向6気筒ツインターボエンジンは、スタンダードな911ターボから継承されたものだが、ターボの最大過給圧は1.85バールから2バールに高められ、最高出力は911ターボの420馬力に対して456馬力を得るに至った。
最大トルクの650Nmは、3500~4500rpmでフラットに発揮されるが、これはポルシェ独自の可変バルブタイミング&リフトシステム、ヴァリオカム・プラスによる効果。中速域でのフレキシビリティは、組み合わせられるミッションが6速MTのみという心配を少しは解消してくれるだろう。
駆動方式をRWDとしたことで、車重は1440kgと911ターボからさらに100kgも軽くなった。その結果、0-100km/h加速は4.1秒を実現し、またエンジンの強化や専用のエアロパーツの装備などによる相乗効果で最高速も315km/hを達成した。
このパフォーマンスデータは911ターボと比較して、前者は0.1秒、後者は10km/h速い数字。これをわずかな差と見るか、ポルシェの緻密なエンジニアリングの積み重ねによる確かな結果と見るかは、人によって意見がわかれるのかもしれない。
調整式のアンチロールバーやジオメトリーのセッティング範囲をさらに広げたサスペンションも、911GT2の特長だ。タイヤサイズは高性能化に伴ってさらにワイド化され、ブレーキにはカレラGTに採用されて大きな話題となったセラミックディスクが、プロダクションモデルとしては初めて装備されることになった。
このようにさまざまなトピックスを秘めて誕生した996型911GT2。それはまさに当時のスーパーカーの頂点に位置する一台だった。そしてそれは、2003年に生産型のカレラGTが誕生するまで、ポルシェの最強モデルであり続けたのだ。
