
この記事をまとめると
■買ってきたままの状態でサーキット走行ができるクルマは少ない
■少し試す程度ならノーマル+αで走れるクルマも多少存在する
■ブレーキなど最低限のパーツを変更することでより安全に楽しめるようになる
ちょっと試すくらいならそのままでもOK
ポルシェの911GT3とか、そういったクルマを除けば、買ってきたそのままの状態でサーキットを堪能できて、トラブルが起きないクルマというのはそうそうない。とはいえ、いくつかそれに近いクルマもある。
まず現在もっともそういった存在に近いのはGR86。純正サスペンションは驚くほど懐が深く、「純正サスらしくロールしまくってサーキットなんて走れたもんじゃない」という状態にはならない。ちょっと車高は高いが、普通に楽しめてしまう。なんならダウンサスと呼ばれる、車高の下がるスプリングを純正ダンパーに組み合わせるだけでも、十分だ。
ブレーキもキャパシティはそこそこあって、サーキット用に変えたほうがベストではあるが、ノーマルのパッドでも数周程度のお試しなら楽しめる。エンジンの水温も上がらず、油温もとりあえず普通に走るぶんには大丈夫。そしてリヤには純正LSDが装着されるが、これが絶妙な効きで、こちらもサーキット走行OKだ。 LSDが装着されていないと、アクセルを踏んだときに荷重の抜けている側のタイヤが空転しやすく、そちらに駆動力が行ってしまって思ったように加速できなくなってしまう。しかし、この純正LSDはなかなかの効きで、とりあえず走るぶんには問題ない。
最近まで新車で販売されていたスイフトスポーツ(ZC33S)も吊るしでサーキットを走れるクルマに限りなく近いが、こちらの場合、完全ノーマルは正直厳しい。ターボでかなりパワーもトルクもあるが、水温も油温も意外と上がらない。素晴らしい冷却系が構築されていると思う。難点はLSDがないことにある。トルクがありすぎて、タイトコーナーでアクセルを踏むとイン側タイヤが空転し、ときには白煙を噴くほど空転してしまうのだ。こうなるとタイヤが異常摩耗してしまう。
ミニサーキットほどこの症状が起きるので、じつは鈴鹿サーキットや富士スピードウェイのような大きなコースに行くと、コーナーも緩いため逆に気にならない。なので、そういったコースならノーマルで楽しむのもありである。ちなみに純正品のブレーキパッドは街乗りスペックなので、スポーツ走行には不向きだ。パッド交換くらいはチューニングと捉えず、最低限交換するパーツとして認識してもらいたい。
先代スイフトスポーツ(ZC32S)も、吊るしで走れる名車だ。こちらは1.6リッターNAエンジンなので、そこまでトルクもなく、空転も起こしにくい。タイトコーナーさえ我慢すれば結構楽しめる。しかしこちらのクルマの場合、泣き所はエンジンオイルの温度だ。夏場に走っていると、油温が130℃は軽く超えてくる。140℃まで見たことがあるほど。
なので、しっかりとサーキットを楽しむならオイルクーラーだけは装着してもらいたい。それとブレーキパッドさえ交換しておけば、パワーがそれほどないのでタイヤも減りにくく、相当数周回できる。上記の2台と比べると若干手は掛かるが、走り込んで上手くなりたいなら、車両価格も安価なのでベストな選択といえる。
このように、なかなかツルシで走れるクルマは少ないが、傾向としては新しいクルマほど少ない対策で走れることが多い。たとえばシルビア系だったらラジエーター交換にオイルクーラー装着が必須だが、GR86ならどちらも不要。GR86には水冷式オイルクーラーがついているので、油温も上がりにくい。 GR86も、本格的に走るのであればブレーキパッドはサーキット対応品が必要だが、数万円のコストで済むので、トータルでは遥かに安くサーキット走行を楽しめる。
ちなみにGRヤリスでは、純正パッドがスポーツ走行対応品なので、そのままでもサーキットを楽しむことが可能だ。そのかわりに「普段乗りでもブレーキダストが多い」「ブレーキの鳴きが発生する」などの弊害もあるが、そのままでもとりあえずサーキット走行は楽しめる。こういった最初からサーキット走行前提みたいなクルマも、少数派だが存在するのだ。
