
この記事をまとめると
■日産のR35GT-Rは2025年8月で18年の生産にピリオドを打った
■R35GT-Rにはさまざまな特別仕様車があったがスペックVはひと味違っていた
■スペックVの詳細を改めて解説する
規格外のモンスターGT-Rは初期のころから存在した
2007年に登場したR35GT-Rは、当時777万円という衝撃プライスで販売されたが(先代のR34スカイラインGT-Rはベースグレードで499万800円)、価格が2倍も3倍もするような海外のスーパースポーツたちを一蹴する狂気ともいえるそのパフォーマンスは、世界中のカーフリークを興奮させた。あまりの速さにドイツの某スポーツカーブランドから「どんなインチキしたんだ!? ありえないだろ!」とクレームが入ったという伝説まで残しているほど。実際、2007年にニュルブルクリンク ノルドシュライフェにて7分38秒という、当時の量産車世界最速級のタイムを記録している。
そんなR35GT-Rも、部品の調達や法規制などの都合もあり、累計約4万8000台の生産を経て、2025年8月26日に生産された最後の1台をもって、18年の歴史に幕を閉じた。
余談だが、最後にラインオフされたのはミッドナイトパープルのT-specで、エンジンに貼られている匠プレート(エンジンを組んだ人の名前が刻まれている)が赤色になっているそうだ。
このR35GT-Rには、18年もの歴史があっただけに、さまざまな特別仕様車や限定車が存在しているのだが、市販車においてもっともハイパフォーマンスだったモデルが、2014年から追加されたGT-R NISMOだろう。このモデルは文字どおり、R35GT-RにNISMOが手を加えたハイパフォーマンスなモデルで、ベースモデルが進化するたびに、アップグレードを重ねていった。
極め付けは、2019年にリリースされたMY20モデルで、市販車状態において初めて筑波サーキット(TC2000)を1分以下、59秒361で駆け抜けた。その後、このタイムはMY24モデルで59秒078を記録。国産市販車最速タイムを刻んでいる。
これだけ聞けば、「GT-R NISMOってやっぱ究極のR35なんだな〜」となるかもしれない。しかし、忘れてもらっては困る。R35GT-Rには、ある意味NISMO以上に過激でスパルタンな、幻のモデルが存在することを。それがこの記事で紹介する、2009年に産声を上げたR35GT-R スペックVである!
このモデルは、2007年のR35GT-R発表時から、当時の開発責任者、水野和敏氏より「いずれ出ます」とアナウンスされていたモデルであり、その名前からわかるように、第二世代GT-Rにあった上級グレードの「Vスペック」を彷彿とさせるネーミングであった。それだけに、「ベースモデルよりちょっと装備がいいモデルかな?」くらいに思っていた人も当時はいたという。
ところがどっこい。蓋を開けてみたら「なんじゃこりゃ!?」な1台なのだ。特徴的な点を順に見ていこう。
まずエクステリアから……と、言いたいが外観に関してはじつはいうほど派手な佇まいではない。むしろ通常モデルとほぼ同じだ。
しかし、よく見ると変更点がいくつかある。たとえばリヤスポイラー。これは形状こそノーマルモデルと同じだが、しれっとカーボン製になっている。また、マフラーの出口も楕円形となっており、知っている人が見たら「お?」となる変更が加えられている程度。ちなみにこのマフラーはチタン製になっており、軽量化と排気効率向上が図られている。それと、GT-Rのエンブレムの下に「SPEC V」というエンブレムが備わる。非常にジェントルな佇まいだ。
外観はこのくらいの違いなので続いてインテリアに目を向ける。こちらはスパルタンな超武闘派。インパネに関しては外観同様に見たところ通常モデルとそれほど大きな差はない。シートはスポーツモデルでは定番のバケットタイプ(レカロ製)、カーボン製に変更はされているが……。走りには関係ないが、キーもカーボン製のオリジナル品となる。
しかし注目ポイントはここから。そう、スペックVではリヤシートがオミットされているのだ。つまりこのモデル、ふたり乗り仕様ということになる。これはあのNISMOでも行われていない施策で、スペックVの本気度が感じられるポイントだ。なお、後述する変更も含め、これらの軽量化によりベースモデルの重量からマイナス60kgを実現している。
