
この記事をまとめると
■クルマ系イベントではレーシングカーが展示されることがある
■展示されるレーシングカーの一部はレプリカである場合が多い
■一切動かないモデルから本物のパーツを使用したモデルまでさまざまな種類がある
展示されているレーシングカーは全部が本物じゃない!?
大阪オートメッセや東京オートサロン、そのほか全国で開催されている自動車系イベントをはじめ、サーキットで行われるモータースポーツ関連のイベントで、アイドル的人気を誇っているのがレーシング車両の展示だ。
そんななかでもとくに多いのが、SUPER GT関連の車両展示だろう。トップカテゴリーのGT500マシンをはじめ、GT300に参戦するプライベーターが手がける車両など、個性豊かなマシンたちが、各イベントの方向性やスケジュールによって全国のイベントに出動し、多くの人が写真を撮っている光景はお馴染みの風景である。
しかしこれらの車両、夢を壊すような話にはなってしまうが、じつは本物に見えながらも本物じゃないケースが多々あるのだ。つまり、どういうことか。イベントで展示されているレーシングカーたちの多くは、超精巧なレプリカ、もしくは完全オリジナルではない車両であることが多いのだ。では、どんなレプリカなのだろうか。いくつか特徴を紹介したい。
まず、明らかにレプリカとわかる車両、もしくはその可能性が非常に高い車両についてだが、これらの多くはウインドウ類がすべてフルスモーク状態で内部が一切見えないモデル。SUPER GTにおいては新型車両をお披露目する際にステージ上に置かれる車両であったり、イベントでカーボン柄剥き出しのまま展示されている車両にこの仕様が多い。
この車両の見た目は本物と瓜ふたつだが、パーツの素材がカーボンでなかったり、エキゾーストもよく見ると途中で塞がれていて機能しなくなっていたりと、まるで1分の1ミニカーのような状態であるケースが多い。当然エンジンやミッションも載っておらず、それどころかドアすら開かないのでステアリングもほぼ切れず(多少の可動域はあるらしい)、移動は相当苦労すると、輸送に携わっていた関係者は語る。ただし、車重は軽いので動きさえすればそのあとは多少ラクなんだそう。
これはあくまで現場の雰囲気作りと車両のディテールを見てもらうためのモデルなので、比較的イベントに出現しやすい傾向にある。そもそもSUPER GTの現役車両は何台もストックがないどころか、シーズン中にイベントで展示して何かあったら大惨事なので、そう表舞台に出てくる機会がないというのが実情だ。
もうひとつのよくある例としては、「ガワは本物・中身は別物」という車両もある。これの正体は、エンジンやミッションが当時のモノではなく別の代替品が載っている場合と、動力系が何も積まれていない車両にわけられる。なぜこのようなことが起こるのか。レーシングカーはメーカーの機密の塊であり、この中身が漏洩してしまうと、翌シーズンにライバルメーカーやチームが圧倒的に有利になってしまうのはいうまでもない。それ以外にも、市販車にフィードバックされるかもしれない技術が入っている可能性すらある。
なので、エンジンやミッション、そして頭脳であるECUは参戦を終えたらメーカーに要返却……というケースが少なくない。そうなると、「車体は余ったけど動かせない!」なんて事態になる。ここで取られる手段が、「動かせるように別のエンジンやミッションを積む」案と「そのまま展示車両として生かす(もしくは廃車にする)」案。当然前者はそれなりに費用が発生するので、ハードルが一気に跳ね上がるのはいうまでもない。
こういった大人の事情で走れない車両も、展示されるレーシングカーのなかには案外多いのだ。
