
この記事をまとめると
■ソニー・ホンダモビリティは「アフィーラ」というEVを開発していた
■「アフィーラ」にはHRCが協力して作り上げたユニークなプログラムが存在した
■車両の開発が中止となりクルマとプログラムは幻となった
アフィーラに面白技術が搭載されるはずだった!?
日本を代表する家電メーカーであるソニーと、同じく自動車メーカーのホンダがタッグを組んで2022年にスタートした共同EV計画。ソニー・ホンダモビリティという法人が設立された。その後は同ブランド1号車となる、「アフィーラ」というサルーンが2023年1月に開催された「CES2023」で世界初公開された。同年開催のジャパンモビリティショー2023では日本でも初公開され、大きな話題になった。
しかし、2025年にホンダが歴史的な赤字を記録したほか、世界市場におけるEV戦略の鈍化などを理由に同社は経営方針の見直しを実施。結果的に、このアフィーラは2026年中に販売が予定されていたが、開発と販売が中止になることが、2026年3月25日に正式発表された。よって、ソニー・ホンダモビリティも、現在は事実上休業状態となっている。今後、市販されることもほぼないとされているので、文字どおり幻となったクルマである。
そんな悲劇のクルマであるアフィーラだが、開発・販売の中止が発表される直前である3月4日、最後(!?)の飛び道具が用意されていたのだ。
それは、モビリティ開発環境のオープン化を進める「AFEELA共創プログラム」を利用して、ホンダの四輪・二輪のレース車両をはじめとしたモータースポーツ部門を担うHRCが開発したスペシャルソフトウェアだ。
「アフィーラってEVでしょ? しかもそれがHRC?」となるのも無理もない。ではどんなソフトウェアか。ズバリ、”音”のチューニングだ。
アフィーラはEVなので、基本的にはモーターやインバーターから出る音とタイヤから出るロードノイズ以外は音が発生しない。そして、それらは遮音性を高めたキャビンであればあるほど、車内に入ってくることはない。つまり、超がつくほど静粛性が高いのだ。それがEVにおける大きなメリットである。しかし一方で、クルマ好きや運転好きからは「つまらない」、「静かすぎて眠くなる」など、かえってデメリットに感じる人も少なくない。
そのような背景から、スポーツモデルなどの一部のEVでは、あえてエンジンサウンドを擬似的に出すシステムを採用している。ヒョンデのIONIQ 5Nや話題のホンダ Super-ONEがそうだ。そしてアフィーラも、じつはその領域に足を踏み込んでいた。
