WEB CARTOP | 独自の企画と情報でクルマを斬る自動車メディア

もう燃費のためだけの技術じゃなくなった! 世界のスーパースポーツがハイブリッド化に邁進するワケ (2/2ページ)

もう燃費のためだけの技術じゃなくなった! 世界のスーパースポーツがハイブリッド化に邁進するワケ

モーターでアシストするレスポンスと駆動力

 ハイブリッドシステムは長く燃費/環境性能改善技術として語られてきたが、現在は自動車メーカー各社が走行性能の向上を目的に活用する領域へと変化しつつある。

 日本では新車販売の6割以上をHEVが占めるが、欧州でも排出ガス規制の強化により、ポルシェ911やフェラーリやランボルギーニといったスーパースポーツまでもが積極的に利用し始めている。

 しかし、その本質は規制対応ではなく、「速さの獲得」にある。

 電動アシストを積極的に駆動力として活用。エンジンの過給遅れをモーターで補完することで、従来の内燃機関やターボ過給では得られなかった高レスポンスを実現。モーターは低回転から最大トルクを瞬時に発生するため、ターボ過給圧の立ち上がりを待つ必要がなく、アクセルに対する応答がきわめて自然で鋭いのである。

 さらに前後にモーターを備えるPHEVでは、左右・前後の駆動力配分を電子制御で最適化できる。これにより旋回中に必要な限界Gを高めながら、立ち上がりでは電動駆動トルクが即座に路面へ伝わり、コーナー進入から脱出までの姿勢変化がきわめて滑らかになる。

 いわゆるeアクスルの活用はスーパーカーの操縦安定性向上に大きく寄与しており、エンジン性能だけで競う時代は終わりつつある。

 一方、HEV化はバッテリーやインバーター、冷却系の増設によって重量増を招く。とくに車体中央付近にバッテリーを搭載すると重心が下がる半面、相対的な慣性モーメントは増大し、車体の回頭性に影響を与えてしまう。

 そのためスーパーカーメーカー各社は、バッテリー配置を含めたパッケージングと冷却マネージメントに多大な工夫を凝らしている。総じてハイブリッドのスーパーカーは、電動化による重量増をはるかに超える動的メリットを得ており、現代の高性能車にとって電動アシストは不可欠の技術に変化している。

ターボ+電気モーターの二重過給に死角なし

 スポーツハイブリッドの進化形として注目されるのが、トヨタが示す”デュアルブーストハイブリッド”である。これはターボ過給とモーターアシストを併用することで、低回転域から高回転域までトルクの谷を完全に排除する構想である。

 ターボは中高速域で大きな出力を得られるが、低回転では過給が立ち上がるまで時間を要する。モーターはこの領域を補完、0回転から最大トルクを発揮するため、アクセル開度に対する車両応答を鋭く、かつリニアに保てる。この「二重の過給」はたんに加速力を高めるだけでなく、ドライバビリティそのものを高度化する。

 たとえばコーナーのクリッピングポイントから立ち上がる際、ターボのタイムラグがないため車体の姿勢変化をコントロールしやすい。トラクションが安定するので結果としてドライバーはアクセル操作を細かく調整可能で、車両を意図したとおりのラインに導きやすくなるのだ。

 また高電圧化されたバッテリーとインバーターにより、モーターの高出力連続維持が可能となり、スポーツ走行時でも電動ブーストが安定する。将来的にはモーターの小型化や固体電池化によって重量増という課題がさらに縮小し、エンジンと電動が共存した”軽いハイブリッドスポーツ”も現実味を帯びる。

 BEVが絶対的な加速性能を追求するのに対し、スポーツHEVはフィーリング、音、重量バランスをキープしながらレスポンスを引き上げられる。現代のF1マシンやWECのハイパーカーの技術がエンジンの存在感を残しながら速さを追求できる基礎にあり、今後のスポーツカー開発で核となるパワートレインになると考えられるのだ。

画像ギャラリー

WRITERS

モバイルバージョンを終了