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全長・全高・全幅にホイールベースをみればクルマのポテンシャルがわかるって本当? レーシングドライバーが語る現代スポーツカーのディメンション論 (1/2ページ)

全長・全高・全幅にホイールベースをみればクルマのポテンシャルがわかるって本当? レーシングドライバーが語る現代スポーツカーのディメンション論

基本性能を決める3要素は全長・全幅・全高

 まず全長だが、スポーツモデルにおいて全長値は必ずしも「短ければ軽快、長ければ鈍重」と単純に割り切れるものではない。確かにショートボディは取りまわしにすぐれ、峠道では軽快な印象を受ける。寸法が小さければ軽量化できるのも確かだ。

 しかし、全長がある程度長ければ直進安定性が高まるという側面もある。もっと言えば、全長の短いGTカーでも長距離巡航で疲れにくい安定性を持ち合わせているモデルもある。全長は必ずしも旋回性と直進安定性のトレードオフの関係にあるわけではないのだ。

 一方、全幅は直接的に旋回性能に影響する要素だ。広い全幅は左右タイヤの接地中心であるトレッドを拡大し、ロール剛性が高まることで旋回時の挙動が安定する。横Gに対する耐性も高まるため、サーキット走行を前提とするようなハイパフォーマンスカーの全幅が拡幅されるのは、旋回性能追求という理由があるのだ。

 ただし、全幅の拡大は市街地での取りまわし悪化や前面投影面積の拡大による空気抵抗の増大、あるいは重量増加といった負の側面もある。さらに年々厳しさを増す側面衝突の安全基準に適合させるために拡幅は不可避で、日本の狭い道路環境では取りまわしにくさを感じさせる一因になっている。

 さらにクルマの重心位置と密接に関わっているのが全高で、低いほど重心が下がり、ロールやピッチの動きが小さくなる。これこそスポーツカーが低いフォルムを選ぶ大きな理由だ。

 ただし無闇に低くすれば乗員の着座姿勢が窮屈になり、実用性を損なう。たとえば三菱の2代目GTOは低い全高で乗員のヘッドクリアランスが極小となり窮屈だったが、低重心としたことで操縦性は驚くほどすぐれていた。日産GT-Rはある程度の全高を確保して居住性を確保しつつ、エンジンの搭載位置をドライサンプ化で下げ、高出力エンジンと4輪駆動システム、空力によるダウンフォースで補うアプローチを取っていた。

 高い全高でも、重量物を低い位置に配置して重心を下げることでロール剛性を高めることは可能なのである。

長短だけでは語れないホイールベース

 ホイールベース、すなわち前後車軸間の距離は、一般的に「直進安定性」と「旋回性」を天秤にかける数値だと思われている。ホイールベースが長いほど直進安定性が増し、短いほど小まわりが利く、といった考え方だ。

 しかし、これは正しくもあり、間違いでもある。ホイールベースが長ければ室内空間の前後長にゆとりが生まれて居住性は増す。一般的な乗用車ではそれが活かされる。

 しかし、スポーツカーのように高出力エンジンと強力なブレーキシステムを備え、前後加速Gを最大化した場合、ピッチング(車体の前後動)による車両姿勢の変化を抑える必要がある。ロングホイールベースにはピッチングの抑制効果があり、それはワイドトレッドがロール剛性を高めるのと同様、ピッチングモーメントを小さくできる。結果、4輪の接地荷重が安定するので高いグリップ限界を引き出して走ることができるのである。

 ショートホイールベースは軽快でアジリティ=敏捷性に富むが、それにはタイヤの接地荷重がつねに変化し、旋回性能の限界は決して高くないという現実が見えている。

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