運転免許の取得では運転技量は問われない
クルマを運転するほとんどの人が自動車運転免許教習所(以下:教習所)で学び、試験に合格して自動車運転免許(以下:免許)を所得しているはずだ。そして、初めて公道でクルマを走らせると、教習所では教わらなかった多くの問題に直面するだろう。
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教習所では道路交通法規に則った運転を行えるかどうかが主目的であり、じつは運転が上手いか下手かは問われない。車庫入れで何度切り返しても、安全確認がしっかりできて入庫できれば問題ない。しかし、多くの人は免許を手にしたことで、自分の運転が認められたと認識し、公道を走り出す。
実際、公道は複雑怪奇で、教習所の限られたスペースでは再現できていないような状況の連続だ。運転が上手いか下手かは、じつはそうした未経験の場面に直面した際に、いかに適切に対処できるかの適合力として現れる。
操作に無駄や不適切があれば、真っ直ぐの道路でも危うい。自車以外にも多くの車両がさまざまな目的で走行しているなかで、いかに流れを乱さず、同乗者に不快感を与えず、スムースにクルマの性能を活かした走りができているか。運転の上手い下手はそうした場面で現れると言える。
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サーキットやオフロードなどは、走る状況が変わっただけで、その場所において適切にクルマの性能を引き出す対処ができれば上手に適合できる。つまり「運転が上手い人」になれるのだが、そのために経験則と知識を身につけることは大きな助けとなると言える。
走行環境に応じて変わる危険と認知される速度
今回の限られたスペースでは、上手い運転のすべてを記すことは不可能だが、経験則と知識を共有することで、上手さに導くことはある程度可能な部分もある。
一般道を走る際、もっとも注意すべきことは制限速度の理解と徹底だ。速度違反を犯すことは危険な運転をしているのだ、という自覚を持つことで自ずと制限がかかってくる。
時速30kmという速度数値。これを聞いたら多くのドライバーは低速域と考えるだろう。しかし、市街地の住宅街、細い路地、商店街など歩道と車道の区別がない道路などでは30km/hだとしても危険きわまりない。走行環境が変われば危険と認知される速度が自然と変化してこなければ上手い運転とは言えない。
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交通法規がルールであるならば、ドライバーにはマナーも求められてくる。交通量の多い2車線以上の道路で、隣のクルマと無意識に並走するドライバーは多い。だが、車線変更や進路変更などをスムースに行うためは、互い違いのポジションで走行すべきだ。それは前方に障害物を発見したら即座に避けるスペースにもなる。
そうした状況を察して、周囲のクルマは進路を譲り合う。こうした当たり前のことができていないドライバーがあまりにも多く、煽り運転にも繋がってくる。
前走車との距離は時間にして3秒以上空けることを、あらゆる速度域で徹底し、見える限り最大限の先を読みながら運転をする。それができれば、急な対処や粗い操作を回避でき、運転が上手な人になれる。
Doctor●中谷明彦
武蔵工業大学工学部機械工学科(塑性工学専攻)卒。理論派レーサー/ジャーナリストとして活動する一方、新車やタイヤの開発にもかかわり、4WD車や電子制御による車両運動性能の解析を得意分野とする。1997年より座学のみによるドライビング理論研究会「中谷塾」を開設し、現インディカードライバー・佐藤琢磨らを輩出。運転免許証は教習所に通わず、運転免許試験場で取得。年間数万kmに及ぶ走行距離にもかかわらず、数十年に渡ってゴールド免許を所持。現在の愛車はジープ・ラングラー(PHEV)。
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