自分に欠けていた周囲との協調性
CASE1)受診者:清家大翔
CARトップ編集部。免許取得歴8年の26歳。関東の某私立大学では自動車部に所属。穏やかな性格がそのままクルマの運転にも反映されている。6.3リッターV8を積むメルセデスAMG C63(2011年式)が人生初の愛車。超高額の自動車保険料に加え、優に10万円を超す自動車税に苦悩する。夜な夜なグランツーリスモに熱中する根っからのゲーマー。
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キープレフトの大原則と余裕の車間距離が鉄則
中谷さんの運転を観察してまず気づくのは、「基本に忠実」だということです。今回のルートは、都内の会社を起点に首都高速を経由して同じ都内(江東区)の”海の森水上競技場”までの片道約20km。道中は2車線以上がほとんどなのですが、右折するとき以外はずっと左車線なのです。
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“キープレフト”の原則は知っていますが、ボクの場合、先を急いでしまう傾向が強く、右の車線に移って速いペースで走ってしまいたくなるのですが、それとはまったく対照的でした。
だからと言ってペースが遅いのかというとそんなことはなく、何度も車線変更を繰り返す他車と比べても、ほとんど差はありません。また、車線変更時の他車との接触というリスクを避けるという意味でも、車線変更を繰り返していたいままでの自分の運転がいかに非合理的だったかを知ることができました。
前を走るクルマとの間隔もまた、普段の自分の感覚と比べると長め。今回、前走車に急ブレーキをかけられたり、隣車線のクルマが不意に車線変更をしてきたりといったシーンもあったのですが、なにひとつ慌てることなく、余裕をもって対処していた様子が印象的でした。ほかのクルマに割り込まれまいと、車間距離を詰めてしまうこともあった自分の行為を反省し、改める必要がありそうです。
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多車線道路では並走NG
「大半の人の運転が自分のことしか考えていない」と中谷さん。先の車間距離の話も、前走車への追突を回避することだけが目的ではなく、(二車線以上の道路で)隣の車線のクルマが車線変更して自分のクルマの前に入ってこようとした際、余裕を持って入れるようにスペースを空けているのだと。そう考えれば、隣車線のクルマと並走せず、「互い違いのポジションで走るべき」という話にも納得がいきます。
なにより驚かされたのは、加速・減速・旋回といったすべての操作が滑らかで、身体にまるでショックを感じない点でした。周囲と先々の状況を正確に認識・判断し、余裕を持って運転操作を行っているからこそでしょうが、気になって、どのくらい先まで視線を向けているのか尋ねてみると、「できる限り遠くまで」。
経験則も求められるでしょうし、知ってすぐに実践できるものではないのかもしれませんが、視線を遠くに向ける意識を持つだけでも、いままでの運転を変えるキッカケになるのではないかと……。
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あと、運転姿勢ですね。とくに渋滞や停車時以外、つねにハンドルを両手で握っている中谷さんの姿が印象的でした。いついかなる状況でも、正しい操作のために姿勢を崩してはいけないことを改めて認識。ぜひ見習うべきだと痛感しました。
【Dr.中谷の辛口診断】
一般道の走りは及第点だがクルマと自分の限界を体験しておくべき
清家君の印象は大人しく実直な性格(に見える)。それが運転にも現れている。ドライビングポジションは両腕が伸び切っていて改善が必要だが、市街地での操作に影響が出るほどではない。交差点での慎重さ、周囲の確認は適切で、助手席にいて不安を感じさせない。
交通の流れにスムースに乗り、位置取りも適切。少なくとも市街地での運転は「上手い」レベルに達していると思えた。ブレーキやアクセルの操作も丁寧で、コーナリングでも一定の横Gが維持できている。普段、メルセデスAMG C63をマイカーにしているというだけあって、スムースなドライビングを心がけるクセとして身についているようだ。
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懸念点としては、突発的な緊急回避などの事態が起きた際に、いかに適切に対処できるか。またサーキットなどクルマの限界性能を引き出す場面においても、市街地で見せたようなスムースで穏やかで、ドッシリ構えたようなドライビングを継続できるか、という部分だ。
清家君はまだクルマの限界領域を知らない。一度サーキットでドライビングレッスンなどを受け、限界域でのクルマと自分の限界を体験しておくことで、より懐の深い運転に結びつけることができるようになるだろう。