教習所では「上手い運転」は学べない! レーシングドライバー中谷明彦が教える「本当に上手い運転」と「素人の勘違い」 (3/3ページ)

見習うべきは無駄のない運転操作

CASE2)受診者:古谷 慧
WEB CARTOP編集部。免許取得歴6年の25歳。某私立大学(関西)で4年間自動車部に在籍。現在も遠方も厭わず、ひとりで遠征し、ジムカーナやダートラなどのスピード競技に参戦。愛車はエアコンレスのインテグラタイプR(1996年式)。趣味はラーメン二郎巡り。数カ月前、社用車の車内にニンニクの臭いを充満させたとして叱責を受けた。

  

ノロノロ運転とは違うメリハリを利かせた走り

「その道を極めた達人は、普通の人には及ばないことを当たり前のようにこなす」という話を聞くことがありますが、中谷さんの運転はまさにその言葉どおりでした。今回は一般道ということで、自分との大きな差はないと予想していたのですが、その差は歴然でした。

 アクセルを踏み込んで発進・加速する、ハンドルを切ってカーブを曲がる、ブレーキを踏んで減速・停止する……すべての操作が滑らかで、身体に伝わるGの変化はきわめて小さく、頭や身体が揺さぶられる不快感を微塵も感じさせないのです。

 そう聞くと、法定速度内ならできて当たり前のことじゃないかと思われるかもしれませんが、すべての操作に先々の状況まで読んだ、絶妙かつ丁寧な操作が求められるは間違いなく、少なくともボクはまだそのレベルには達していません。

 また、制限速度を守った運転は、ともするとノロノロ運転にとらえられがちですが、首都高速での本線への合流や、車線変更などでは躊躇なく、しっかりアクセルを踏んで加速し、後続車や周囲のクルマにブレーキを踏ませることなく何事もなく流れに乗ってしまうのです。

 言わば”メリハリ”の利いた運転ですね。難しい状況での合流や、不測の事態に出くわした際など、時にボクはこの判断力に欠ける部分があります。

ハンドル操作の基本は一定の舵角のキープ

 中谷さんと自分の運転を照らし合わせて、決定的に違うのは運転操作の丁寧さだと痛感しました。ボクがアクセル/ブレーキ操作をちゃんとできているというわけではないのですが、とくに参考にしなければと思ったのは中谷さんのハンドル操作でした。

 具体的には、カーブを曲がる際、中谷さんが舵角を一発で決めて、その舵角を一定にキープしたまま旋回し、出口に向けてゆっくりハンドルを戻すという一連の操作を行っているのに対して、ボクの場合、舵角が1回で決まらず、ハンドルを切り増ししたり、切り戻したりを繰り返していることでした。また、中谷さんが推奨する”送りハンドル”も、途中で操舵を止めてしまうクセがあり、スムームさに欠くことも自分の欠点として認識しています。

 これが原因で事故につながることはないのでしょうが、旋回中のGが安定せず、もしかすると同乗者の頭や身体を左右に揺さぶって不快感を与えてしまうかもしれません。あるいは、タイヤのグリップも一定でなくなり、走行安定性を低下させる可能性も否定できません。

 冒頭でも述べたのですが、運転の上手な人はすべての操作において無駄がないことを今回の中谷さんのごく自然で、当たり前に見える運転を見て知ることができました。まだまだ精進が必要ですね。

【Dr.中谷の辛口診断】

落ち着きのない操舵はFF駆動の競技車グセか

 古谷君はジムカーナやダートラ競技などモータースポーツに積極的にチャレンジする期待の若手編集部員だ。マイカーはインテグラタイプRのMT車だ。モータースポーツ好きだけに車両知識は豊富だ。ドライビングポジションも適切な位置に合わせられている。だが、クルマを走らせると、なぜか違和感を感じた。

  

 まずハンドル操作が雑で落ち着きがない。直進でも細かな修正を行っていて、カーブを曲がる際にも切り増し操作など一定の舵角を維持できていない。その理由のひとつは、参戦経験値の高いダート走行のクセがついてしまっていると言える。ダートでは砂利や轍などタイヤの接地フィール変化が大きく、安心感を探るためにソーイングなど細かなハンドル操作を行ってグリップを確かめながら走る。そのクセがアスファルトの一般道でも出てしまっているかのようだ。

  

  

 また、交差点を曲がる際にイン側を広めに空け、途中からハンドルを大きく切り込む。LSD付きのFF車であるマイカーのクセで、一気に大きな力でネジ伏せるようにハンドル操作を行っている。本人は気づいていないようだが、マイカーでのクセがほかのクルマにも現れてしまうのは理想的ではない。

  

 車庫入れではバックモニターを見ずに助手席に手をかけ、上半身を後ろに反転させる”昭和スタイル”。これもマイカーでのクセだろう。最新の装備を活用することは安全性も高める。

  

  

 普段、いいクルマに乗っている清家君とは対照的。FF競技車グセが身についてしまっていた。

※本記事は雑誌CARトップの記事を再構成して掲載しております


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