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鳥に蜂に葉っぱまで生物の進化は「最適解」の塊だった! 自動車技術を発展させてきた生き物がもつ驚きの機能 (2/2ページ)

鳥に蜂に葉っぱまで生物の進化は「最適解」の塊だった! 自動車技術を発展させてきた生き物がもつ驚きの機能

38億年に及ぶ生物の進化は生き残るための最適化

 “バイオミメティクス”という言葉を耳にしたことがあるだろうか。英語ではBiomimeticsと綴り、主に技術・工学の世界で使われる言葉だ。語源はギリシャ語で「模倣」を意味する「Mimeticd」にあり、日本語では”生物模倣技術”と呼ばれる。

蜂の巣

 自動車部品にもたびたび見られる、六角形のセルが規則正しく並んだ”ハニカム構造”は、蜂の巣を模倣したもの。材料を節約しながら、軽さと高剛性・高強度を両立。さらに断熱性や整流性などといった機能も得られるという。

 同じ語源の似た言葉に「Biomimiccy(バイオミミクリー)」がある。こちらは環境負荷の小さなイノベーションや持続可能な社会につながる考え方を指すというニュアンスが強い。

 いずれにしても、動植物の構造や機能を分析することで、そこから新しい機能や効率に優れた仕組みの着想を得ようという技術的アプローチを意味している。

新幹線のパンタグラフ

 風切羽根(かぜきりばね)と呼ばれるフクロウの羽根は、羽先のギザギザや柔らかい羽毛構造が風切り音を抑え、静かに効率よく飛ぶ仕組み。じつは超高速で走る新幹線のパンタグラフに応用されていて、およそ3割の騒音カットに成功している。

 なぜ生物を模倣することが高効率や新機能につながるのだろうか。その基本部分には「生物が38億年という途方もない長い時間をかけて進化してきた」という考え方がある。生物の進化は、生き残るための最適化と言い換えられる。突然変異などにより生物がさまざまなアプローチを試したうえでの最適解が現在の姿だとすれば、そこに学ぶことは長い時間をかけた進化をショートカットするようなものだ。自然に学ぶというのは、合理的な技術アプローチとも言える。だからこそバイオミメティクスが注目を集めている。

人間の頭では思いつかない自然の摂理にかなった意匠

 自動車ファンや技術マニアが、バイオミメティクスに注目している理由は、そうした合理性だけではないだろう。自然に学ぶことで生まれるテクノロジーやスタイルというのは、従来のロジックでは想像もできないものになることが多く、その部分が単純に知的好奇心を刺激する。

 たとえば高剛性と軽量化を両立しようとした場合、直線部分がほとんど存在しない有機的な形状となることも多い。

 このように、まるでエイリアンの遺物と思えるような摩訶不思議な形状を生み出す技術的アプローチは、”ジェネレーティブデザイン”と呼ばれる。バイオミメティクスが自然の生み出した結果(現在の姿)に学ぶとすれば、ジェネレーティブデザインはAIに自然の進化過程を学ばせ、目的に合わせた進化をシミュレーションする技術のこと。厳密にはバイオミメティクスとは異なるが、自然に学ぶという意味では同じベクトルと言える。

GMのシートブラケット

 ジェネレーティブデザインではGMのシートブラケットが代表的な例。ブラケットはクルマのシートを車体フロアに固定したり、シート位置の調整機構を支える金具部品を指し、強度や軽量化のほか、衝突安全性や振動・騒音低減などが重要な設計要件になる。

 ジェネレーティブデザインは、遺伝的アルゴリズムとトポロジー最適化というふたつのステップによって新しい形状を生み出している。

 まず、遺伝的アルゴリズムは、まさしく自然界が時間をかけて進化した様子をシミュレーションするもので、交配と突然変異の組み合わせにより優秀なアイディアを生み出すものと理解できる。

 トポロジー最適化は、そうして得られた有力候補に対して、物理演算を加えることで構造を進化させる手法だ。前述したような軽量化と高剛性を狙うのであれば、どこをそぎ落とすことができるかを、動物の骨格や植物の根っこが成長するプロセスを参考にして考える。だからこそ人間の頭では生み出せないような、ある種の異形なデザインが生まれるのだ。

 それでは、レーシングマシンの速さや、環境性能に直結する効率性など、具体的なバイオミメティクスの実例についてみていこう。

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