
この記事をまとめると
■インドネシアにおいてBYD ATTO1が大ヒットから一転して販売順位が急落
■生産移管や中国系ブランドの相次ぐ新型車投入が影響
■ジャカルタではBEVが身近になるが地域差も大きい
存在感を強める中国勢
インドネシアでの新車販売におけるBEVの販売比率は日本の約4倍弱となっている。首都ジャカルタとその近郊の街なかを歩いていると、とにかくよく見かけるBEVがBYD ATTO1となる。地元報道では2025年10月単月で9396台を販売し、BEVだけではなく新車販売全体でも車名別で販売ナンバー1になったとのこと。
ところが、2026年4月単月締めでのBEV販売ランキングでは、ATTO1はトップ10圏外となっていた。ちなみに2026年4月にもっとも売れたBEVは、チェリー(奇瑞汽車)系“JAECOO”ブランドのSUVタイプのBEV“J5”となっている。BYDモデルではMPVタイプBEVのM6が2位、シーライオン7が3位に入っている。
ATTO1よりやや上級となり、BYDではドルフィンのライバルともなるジーリー(吉利汽車)のEX2が4位に入っているのも興味深いところとなっている。
過去にはウーリン(上海通用五菱)のマイクロBEVとなる“エアEV”が大ヒットしたが、長続きはしなかった。ATTO1はこのエアEVの上級車的存在であるものの、エアEV並みの価格設定も注目され大ヒットしたのだが、2026年に入ってからは販売面では精彩を欠いているというか、販売台数を大きく落としている。
これはATTO1が国外生産モデルからインドネシア国内生産に切り替わったことが大きいと現地メディアはこぞって報道している。生産体制の移管に伴い、海外生産モデルの在庫調整が影響しているのであり、販売状況は早晩回復するとも報じていた。
インドネシア市場に新規参入する中国系BEVブランドがまだまだあとを絶たないなか、すでに市場展開しているブランドも続々とニューモデルを投入している。腰の軽い中国系ブランドのこのような動きが一部ヒットモデルを短命に終わらせていることも否定できない。ただ、フリートニーズの多いミニバンのBYD M6やデンザ(BYDの上級ブランド)D9といったモデルは、販売台数を見れば人気車としての地位を維持している。
このような需要動向のなか、かつて“エアEV”を大ヒットさせたウーリンが新たなコンパクトBEVを市場投入した。それが“アイラEV”である。全幅のみ70mmほど広くなるものの、日本の軽自動車規格に限りなく近いボディサイズとなる5ドアコンパクトハッチバックとなる。そのアイラEVの標準航続距離(205km/ロングレンジは301km)仕様の価格は1億5500万ルピア(約138万円)。ATTO1の標準航続距離(それでも300km)仕様の価格の1億9900万ルピア(約178万円)を下まわる設定となっている。
ウーリンはこのアイラEVのほか、エアEV、ビンゴEV、クラウドEVとコンパクトサイズのBEVラインアップが多くそれを得意としている。中国系BEVを見れば、コンパクトから大型SUV、ミニバンや商用車など、ラインアップはかなり多彩なものとなってきている。
ただし、このようにBEVが注目されるのはジャカルタ首都圏に限るとしていいほどに、インドネシア全体で見れば限定的な動きともいわれている。今回ジャカルタ首都圏を訪れると、街なかでは中国系ブランドBEVが目立っていた。ジャカルタ首都圏では、中国系ブランドを中心に少なくとも日本よりはBEVという選択がより特別なものではなくなってきていることを強く感じた。
